いつもお世話になっています!Pスケ(@kaigonarehabilid)です。
介護保険の介護報酬には様々な加算があり、認知症に関する加算の一つに『認知症行動・心理症状緊急対応加算』というものが存在します。
令和3年度の介護報酬改定から小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護でも算定できるようになりました。
ってことで、今回は『【令和3年度】小多機、看多機でも!緊急入所に対応!認知症行動・心理症状緊急対応加算の算定要件とQ&A』について話したいと思います。
目次
1.認知症行動・心理症状緊急対応加算とは?
今回説明する認知症行動・心理症状緊急対応加算とはどのような加算なのでしょうか?
認知症行動・心理症状緊急対応加算とは、、、、
認知症の症状には『中核症状』や『BPSD(周辺症状)』などがあります。
これらの認知症の症状がある利用者が、自宅での生活が困難になり早急に入所する必要があると医師が判断した場合。
利用者を施設に入所させ、サービスを提供した場合に算定できる加算です。
認知症行動・心理症状緊急対応加算を取得することで、一時的に入所し利用者が在宅生活を継続できることを目的としています。
令和3年度の介護報酬改定から在宅の認知症高齢者の宿泊ニーズに対応できる環境づくりを一層推進する観点から
- 小規模多機能型居宅介護
- 看護小規模多機能居宅介護
でも算定できるようになりました。
2.取得可能施設
認知症行動・心理症状緊急対応加算が取得できる施設は以下のようになっています。
以下は予防も含みます。
- 短期入所生活介護
- 短期入所療養介護(介護老人保健施設・療養病床病院・診療所・介護医療院)
- 介護福祉施設
- 介護保健施設
- 介護療養施設(療養病床病院・診療所)
- 介護医療院
- 認知症対応型共同生活介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者介護
- 小規模多機能型居宅介護※
- 看護小規模多機能居宅介護※
※短期利用居宅介護費算定者のみ
3.単位数
認知症行動・心理症状緊急対応加算の単位数は以下のようになっています。
単位数 | |
認知症行動・心理症状緊急対応加算 | 200単位/日 |
入所してから起算して7日間を限度に算定できます。
また以下の条件を満たさなければなりません。
- 入所前1月の間に認知症行動・心理症状緊急対応加算を取得する施設に入所したことが無い利用者。
- 過去1月に認知症行動・心理症状緊急対応加算を算定した事が無い(他サービスを含む)
4.算定要件
4.1.認知症の行動・心理症状
認知症行動・心理症状緊急対応加算の文言に記載されている『認知症の行動・心理症状』とはどのような状況なのでしょうか?
認知症の行動・心理症状とは、、、、
認知症による認知機能障害に伴う
- 妄想
- 幻覚
- 興奮
- 暴言等
を指します。
4.2.医師の判断
認知症行動・心理症状緊急対応加算では、在宅療養中の認知症利用者が医師の判断で『認知症の行動・心理症状』で緊急に施設へ入所が必要になった場合。
介護支援専門員や受け入れ施設の職員と連携し、利用者又は家族の同意の上で入所が可能となります。
認知症行動・心理症状緊急対応加算の算定開始は医師が判断した日またはその次の日に利用開始となった時です。
もし入所では対応できなく、医療機関での対応が必要と判断された場合。
速やかに医療機関の紹介・情報提供を行い、適切な医療が受けられるようにする必要があります。
4.3.記録
認知症行動・心理症状緊急対応加算で判断を行った医師は診療録等に記入しなければなりません。
記録内容として
- 症状
- 判断の内容等
を記載する必要があります。
また、介護サービス計画書に以下の内容を記載します。
- 判断を行った医師
- 日付
- 利用開始に当たっての留意事項等
4.4.症状が安定した場合
認知症行動・心理症状緊急対応加算は入所後速やかに退所に向けた施設サービス計画書を作成しなければなりません。
入所した後、利用者の『認知症の行動・心理症状』が安定した場合。
速やかに利用者は退所し、在宅復帰が可能となるようにする必要があります。
4.5.在宅以外は算定出来ない
認知症行動・心理症状緊急対応加算では、以下の場所の入院・入所・利用中の者が入所した場合は算定出来ません。
- 病院または診療所の入院中の者
- 介護保健施設、地域密着型介護老人福祉施設に入所中の者
- 短期入所生活介護
- 短期入所療養介護
- 特定施設入居者生活介護
- 短期利用特定施設入居者生活介護
- 認知症対応型共同生活介護
- 短期利用認知症対応型共同生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 短期利用地域密着型特定施設入居者生活介護
4.6.環境整備
認知症行動・心理症状緊急対応加算で入所した利用者に対して、以下の環境整備を行う必要になっています。
- 個室
- 療養に相応しい設備等
5.Q&A
Q183.入所が予定されており、入所予定期間と実際の緊急入所の期間が重なっている場合であっても、本来の入所予定日前に緊急に入所した場合には、7日分算定できるのか。A.当初の入所予定期間も含め、認知症行動・心理症状により緊急に入所した日から7日間以内で算定できる。
引用:介護保険最新情報vol.267「平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(平成24 年3 月16 日)」の送付について
Q184.入所予定日当日に、予定していた事業所に認知症行動・心理症状で入所した場合は算定できるのか。A.本加算制度は予定外で緊急入所した場合の受入れの手間を評価するものであることから、予定どおりの入所の場合、算定できない。
引用:24.3.16事務連絡 介護保険最新情報vol.267「平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(平成24 年3 月16 日)」の送付について
6.参考文献
- 令和3年度介護報酬改定における改定事項について
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成27年度)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成27年度)
7.最後に
自宅で認知症の高齢者をケアしている家族の中には周辺症状で困ったりする方は多かれ少なかれいらっしゃると思います。
そこを上手く察知し、施設のスタッフから提供できるような体制を整えることが大切だと考えます。
なので介護報酬をしっかりと学び、このような制度があるということを理解していきましょう。