いつもお世話になっています!Pスケ(@kaigonarehabilid)です。
平成30年度の介護報酬改定では様々な新規加算の創設、算定要件の改定が行われました。
医療施設との連携を強化する『再入所時栄養連携加算』もその1つです。
ってことで、今回は『連携強化でシームレスなケアを! 再入所時栄養連携加算の算定要件』について話したいと思います。
目次
▼目次▼
- 1.背景
- 2.再入所時栄養連携加算とは?
- 3.取得可能な施設形態
- 4.加算単位数
- 5.算定要件
- 5.1.栄養マネジメント加算の取得
- 5.2.病院退院後、栄養管理が大きく異なった場合
- 5.3.介護保険施設の管理栄養士と医療機関の管理栄養士の連携
- 5.4.入所者または家族から栄養ケア計画に対して同意を得る
- 6.参考
- 7.最後に
1.背景
平成30年度の介護報酬改定では地域包括システムのより一層の推進として、医療と介護の連携強化を促しています。
この連携に関して第153回 社会保障審議会(介護給付費分科会)の資料に栄養管理に関するアンケート結果が記載されてます。
このアンケート結果には医療施設の管理栄養士と介護施設の管理栄養士の栄養管理に関する事が記載されており、以下のような結果が出ています。
引用:第153回社会保障審議会(介護給付費分科会)資料1より
この結果を見ると、医療施設の管理栄養士と介護施設の管理栄養士が栄養管理に関する相談をあまりしていない事が50%以上あることが分かりました。
また医療施設の管理栄養士と相談が必要と思う割合は85%と高めになっています。
このように医療の連携の重要性から今回の『再入所時栄養連携加算』が創設されました。
2.再入所時栄養連携加算とは?
再入所時栄養連携加算とは具体的に言うと何なんでしょうか?
この再入所時栄養連携加算の説明として以下のようになっています。
介護保険施設の入所者が医療機関に入院し、経管栄養又は嚥下調整食の新規導入など、施設入所時とは大きく異なる栄養管理が必要となった場合について、介護保険施設の管理栄養士が当該医療機関の管理栄養士と連携して、再入所後の栄養管理に関する調整を行った場合の評価を創設する。
このように以前の施設入所時より病院に入院後、食事形態が変わった時に病院と連携して栄養調整を評価するとなってます。
3.取得可能な施設形態
再入所時栄養連携加算の取得可能な施設形態として以下に挙げられます。
- 介護老人福祉施設
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
4.加算単位数
再入所時栄養連携加算の加算単位数は以下のようになっており、退院時に1回のみ算定可能となっています。
単位数 | |
再入所時栄養連携加算 | 400単位/回 |
施設範囲拡大で口腔ケアの充実を! 口腔衛生管理体制加算の算定要件とQ&A - カイゴなリハ |
5.算定要件
再入所時栄養連携加算の算定要件について話したいと思います。
5.1.栄養マネジメント加算の取得
再入所時栄養連携加算を算定するにあたって大事なのは、『栄養マネジメント加算』を取得している事です。
そもそもこれが無ければ、再入所後の栄養ケア・マネジメントが出来ないのではないでしょうか?
栄養マネジメント加算については、以下のページで詳細は記載されています。
同一敷地内の兼務が可能! 栄養マネジメント加算の算定要件とQ&A - カイゴなリハ |
また同じ様に、栄養マネジメント加算を取得していないと算定できない『低栄養リスク改善加算』もありますので、以下のページで参照してください。
低栄養状態改善を評価! 低栄養リスク改善加算の算定要件とQ&A - カイゴなリハ |
5.2.病院退院後、栄養管理が大きく異なった場合
介護施設の入所者が病気などで病院や診療所に入院して退院後どこも経由せず直接、もと居た介護施設に入所した場合に算定可能です。
病院を退院の際に以前の施設入所時と状況が大きく異なる栄養管理が必要になった場合に算定できます。
なので、特に短期間で入退所を繰り返していても、状況が大きく変われば算定可能のようです。(ただしそのような状況はまれにしかないでしょうが・・・)
大きく異なる栄養管理とは以下のようになっており、入所者にとって新しく導入される栄養管理が対象となっています。
- 経管栄養
- 嚥下調整食など
また嚥下調整食に関して配慮する項目があります。
- 硬さ
- 凝集性
- 付着性
これらの分類は『日本摂食嚥下リハビリテーション学会』の『嚥下調整食分類』に基づく分類で、詳細はそちらをご確認ください。
知っておこう! 介護現場での拘縮の原因~利用者編~ - カイゴなリハ |
5.3.介護保険施設の管理栄養士と医療機関の管理栄養士の連携
再入所時栄養連携加算の要となる部分として、病院等の医療機関の管理栄養士と連携しなければなりません。
連携方法を簡潔にまとめると以下のようになります。
- 介護保険施設の管理栄養士が医療機関へ訪問
- 医療機関の栄養食事指導やカンファレンスに同席
- 医療機関の管理栄養士と栄養ケア計画の原案を作成
まず連携を取る為には、介護保険施設の管理栄養士が入院している医療機関へ訪問する必要があります。
また介護保健施設の管理栄養士が入院していた医療機関の栄養食事指導やカンファレンスに同席し、再入所後の栄養管理について医療機関の管理栄養士と協議する必要があります。
この栄養食事指導等で相談した内容を栄養ケア計画に反映し、再作成なければなりません。
5.4.入所者または家族から栄養ケア計画に対して同意を得る
栄養食事指導等で相談し、作成した栄養ケア計画は入所者または家族に内容を説明・同意を得ることが必要です。
栄養ケア計画に関することは、栄養マネジメント加算のページに記載されているのでそちらをご覧ください。
同一敷地内の兼務が可能! 栄養マネジメント加算の算定要件とQ&A - カイゴなリハ |
6.参考
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について
7.最後に
今後は冒頭にも述べたように医療機関と介護保険施設、地域にまで隔たりのないシームレスな連携が求められてくると思います。
今回の加算で連携を取り、入所者に安全・安心なケアを提供できるようにしていきましょう。