いつもお世話になっています!Pスケ(@kaigonarehabilid)です。
平成30年度の介護報酬改定により、様々な加算が創設されたり、算定要件が変更になりました。
その中でも『栄養マネジメント加算』は配置人員の兼務が拡大となりました。
ってことで、今回は『同一敷地内の兼務が可能! 栄養マネジメント加算の算定要件とQ&A』について話したいと思います。
目次
▼目次▼
- 1.背景
- 2.取得可能な施設形態
- 3.点数
- 4.算定要件
- 4.1.栄養マネジメントは入所者全員に実施
- 4.2.常勤の管理栄養士を1名以上配置
- 4.3.同一敷地内の介護施設の兼務可能
- 4.4.サテライト型施設も兼務可能
- 4.5.栄養ケア・マネジメントについて
- 4.5.1.栄養スクリーニングの実施
- 4.5.2.栄養ケア計画
- 4.5.3.栄養モニタリングと栄養ケア計画の更新
- 4.6.別個に記録は必要なし
- 5.Q&A
- 6.参考
- 7.最後に
1.背景
今までの『栄養マネジメント加算』では、施設ごとに常勤の管理栄養士を1名以上配置する必要がありました。
ただ、例外として
- 同一敷地内に介護福祉施設 + 地域密着型介護老人福祉施設
- 本体施設 + ユニット型施設
の場合のみに管理栄養士の兼務は可能でした。
しかし『介護福祉施設 + 地域密着型介護老人福祉施設』は可能なのに、敷地内に他の介護保険施設が併設してても算定できない矛盾が生じていました。
この矛盾を解消する為に、今回の平成30年度介護報酬改定では人員要件の緩和として1施設だけですが、同一敷地内の常勤管理栄養士の兼務が可能となりました。
2.取得可能な施設形態
算定可能な施設形態として以下の物が挙げられます。
- 介護老人福祉施設
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
3.点数
栄養マネジメント加算の単位数として以下の表のようになります。
単位数 | |
栄養マネジメント加算 | 14単位/日 |
4.算定要件
栄養マネジメントは以下のような条件を満たせば算定可能となります。
管理栄養士が、継続的に入所者ごとの栄養管理をした場合、栄養マネジメント加算として、1日につき所定単位数を加算する。
次の項目から栄養マネジメント加算の要件を細かく説明していきたいと思います。
4.1.栄養マネジメントは入所者全員に実施
栄養マネジメント加算は入所者1人1人に行うことになっています。
また栄養ケア・マネジメントは、低栄養や様々なリスクに関係なく、原則として入所者全員を対象として実施する者です。
なので、誰か1人でも栄養ケア・マネジメントの行い忘れが無いように注意しましょう。
4.2.常勤の管理栄養士を1名以上配置
栄養マネジメント加算では常勤の管理栄養士を必ず1名以上配置することにになってます。
外部業者等に委託して施設内の食事を提供しており、委託業者にしか管理栄養士が配置されていなかったら、栄養マネジメント加算は算定できません。
4.3.同一敷地内の介護施設の兼務可能
栄養マネジメント加算の基本は、常勤の管理栄養士が所属する施設のみで算定することになっています。
しかし平成30年度の介護報酬改定により、同一敷地内に介護施設を併設している場合。
常勤の管理栄養士が両方の施設を兼務して、栄養ケア・マネジメントがしっかりなされた場合に両方の施設で算定が可能となりました。
兼務算定可能なのは栄養マネジメント加算が算定できる以下の施設です。
- 介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
- 地域密着型介護老人福祉施設
ただし条件があって兼務出来る施設は複数あっても『メイン施設 + サブ施設』の1つだけ可能なので、2つ以上の兼務は出来ません。
4.4.サテライト型施設も兼務可能
介護保険施設には、老健などの本体施設とは別にサテライト型施設が存在する場合があります。
本体施設に常勤の管理栄養士を1名配置している場合(本体施設の入所者とサテライト型施設の入所者の合計数に対して、配置すべき栄養士数が1未満の場合のみ)
サテライト型施設でも適切に栄養ケア・マネジメントを行えていれば、兼務が可能です。
本体施設に常勤の管理栄養士2名以上配置している場合も同様に、サテライト型施設と兼務が可能です。
ただしこれらの人員配置の場合も、同一敷地内の基準と同じで、兼務施設の数はサテライト型施設が1施設のみと限られています。
4.5.栄養ケア・マネジメントについて
栄養マネジメント加算はその名の通り栄養ケア・マネジメントを行わなければなりません。
栄養ケア・マネジメントの内容は以下のようになってます。
4.5.1.栄養スクリーニングの実施
栄養マネジメント加算では入所者それぞれの栄養状態を把握する必要があります。
流れとしては以下の通り。
- 栄養スクリーニングの実施(低栄養状態の把握)
- 栄養アセスメント(解決する課題の把握)
- 栄養ケア計画書
となっています。
栄養スクリーニングと栄養アセスメントの様式は、平成30年度の介護報酬改定の別紙(栄養マネジメント加算及び経口移行加算等に関する事務処理手順例及び様式例の提示について)に掲載されています。
4.5.2.栄養ケア計画
栄養マネジメント加算では入所者ごとに栄養ケア計画を作成しなければなりません。
栄養ケア計画は
- 栄養アセスメントを参考に作成
- 医師、管理栄養士、歯科医師、看護職員、介護支援専門員その他の職種で共同作成
することとなっています。
共同作成は、個別機能訓練計画書の用件にもあり、以前書いた『特養の個別機能訓練 共同作成をどうするか』を参考にして下さい。
また栄養ケア計画の内容として
- 栄養補給事項(栄養補給量、補給方法等)
- 栄養食事相談に関する事項(食事に関する内容の説明等)
- 問題解決の為、他職種共同で取り組むべき事項
などを考慮して作成することとなっています。
栄養ケア計画は平成30年度の介護報酬改定の別紙様式2、別紙(栄養マネジメント加算及び経口移行加算等に関する事務処理手順例及び様式例の提示について)にあります。
この別紙様式2を使い、栄養ケア計画を作成したらいいと思います。
ただ例外があり、介護福祉施設サービスでは栄養ケア計画が施設サービス計画に記載している場合、それをもって代えることが可能です。
栄養ケア計画は入所者又は家族に説明・同意が必要で、同意日より算定開始となります。
また栄養ケア計画に従って、他職種でアプローチし実施していくことが大事です。
4.5.3.栄養モニタリングと栄養ケア計画の更新
栄養マネジメント加算では、定期的に栄養状態のモニタリングをする必要があります。
モニタリングの際は入所者ごとに低栄養状態のリスクレベルに応じて、モニタリングの間隔を設定していきます。
期間 | |
| おおむね2週間 |
| おおむね3カ月 |
このモニタリングの間隔は栄養ケア計画に記載するようになってます。
このモニタリング間隔に合わせて別紙(栄養マネジメント加算及び経口移行加算等に関する事務処理手順例及び様式例の提示について)の栄養ケア計画に記載していきます。
栄養状態の把握の為、低栄養のリスク関係なく少なくとも月1回は体重測定などの栄養状態の把握をしなければなりません。
このモニタリングや栄養スクリーニングを参考に、おおむね3カ月ごとに栄養ケア計画を見直す必要があります。
4.6.別個に記録は必要なし
栄養マネジメント加算では、算定要件に含まれている書類
- 栄養スクリーニング
- 栄養アセスメント
- モニタリング
- 栄養ケア計画
以外の定期的な記録は必要とされていません。
また栄養ケア・マネジメントを実施している場合、以下の書類も必要ありません。
- 検食簿
- 喫食調査結果
- 入退所簿
- 食料品消費日計等の食事関係書類
- 入所者年齢構成表
- 給与栄養目標量に関する帳票
5.Q&A
の算定にあたって歯科医師の関与や配置は必要か。
(答)多職種共同で計画を立案する必要があるが、歯科医師の関与及び配置は必須ではな
く、必要に応じて行うものである。
※ 平成 21 年度報酬改定 Q&A(vol.2)(平成 21 年4月 17 日) 共通事項の問5は削除
する。
ぞれ別施設・事業所として指定されることとなった場合について、栄養マネジメント加
算を双方の施設で算定することは可能か。
(答)算定可能である。なお、詳細については、以下の通知を参照されたい。
※ 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特
定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定
に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月8日付老企発
第40号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)第2の5(18)
※ 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び指定地域密着型
介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事
項について(平成18年3月31日付老計発第0331005 号・老振発第0331005 号・老
老発第0331018 号厚生労働省老健局計画・振興・老人保健課長連名通知)第2の8(18)
6.参考
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成30年度)
- 別紙(栄養マネジメント加算及び経口移行加算等に関する事務処理手順例及び様式例の提示について)
7.最後に
食事は栄養状態の改善を行うことにより、肺炎や褥瘡などを予防、改善することに重要な役割です。
栄養ケアマネジメントを行うことで、様々な疾患の予防を行い、利用者の健康維持に努めていきましょう。