【令和3年度】多職種との計画参画!居宅介護支援の退院・退所加算の算定要件とQ&A

退院 退所加算 算定要件 Q&A

いつもお世話になっています!Pスケ(@kaigonarehabilid)です。

令和3年度の介護報酬改定では在宅支援を円滑に進めるように様々な変更がなされています。

その一つに『居宅介護支援における退院・退所加算』があります。

って、ことで今回は『【令和3年度】多職種との計画参画!居宅介護支援の退院・退所加算の算定要件とQ&A』について話したいと思います。

1.令和3年度の介護報酬改定での変更点

令和3年度の介護報酬改定で、居宅介護支援の退院・退所加算はどのような変更点があったのでしょうか?

大きな変更点と言えば

退院退所後のカンファレンスで福祉用具貸与の計画が行われた場合

  • 福祉用具専門相談員
  • 居宅サービス提供の作業療法士等

が参加することを明記することが算定要件として追加となりました。

2.退院・退所加算とは?

居宅介護支援における退院・退所加算とは一体どんな加算でしょうか?

この加算は

  • 病院・診療所
  • 地域密着型介護老人福祉施設
  • 介護保健施設

を退所される利用者を対象となっています。

 

この退院・退所予定施設の医師等からの職員と面談を行い、利用者の必要な情報を受けた後に居宅サービス計画を作成し、

  • 居宅サービス
  • 地域密着型サービス

を利用することで算定可能な加算です。

この退院・退所加算。

入院または入所期間中に1回を限度に算定可能となってます。

3.同時算定不可

退院・退所加算は以下の加算を同時算定してはいけません。

  • 初回加算

4.取得可能サービス

居宅介護支援における退院・退所加算が算定できる居宅サービスは以下のようになってます。

  • 居宅介護支援

5.取得単位数

居宅介護支援における退院・退所加算の取得単位数は以下の通りで、以下の(1)~(5)を同時算定することは出来ません。

 単位数
(1)退院・退所加算(Ⅰ)イ450単位/回
(2)退院・退所加算(Ⅰ)ロ600単位/回
(3)退院・退所加算(Ⅱ)イ600単位/回
(4)退院・退所加算(Ⅱ)ロ750単位/回
(5)退院・退所加算(Ⅲ)900単位/回

 

6.算定要件&留意事項

以下に記載しているのが、居宅介護支援における退院・退所加算の算定要件と留意事項です。

情報を聞き取る書類として退院・退所情報記録書があるので、これに記載していきます。

6.1.面談について(※令和3年要件追加)

介護支援専門員は入院・入所期間中に1回は、医師等からの要請により退院に向けた調整を行うために面談に参加します。

その際には居宅サービス計画に必要な、利用者に関する必要な情報を得なければなりません。

面談はテレビ電話装置等を活用しても支障はありません。

ただしテレビ電話装置等の活用する場合は、

 

を遵守する必要があります。

6.2.算定区分

退院・退所加算は算定区分によって条件が違っていて、下の図のような条件で算定していきます。

 (Ⅰ)イ(Ⅰ)ロ(Ⅱ)イ(Ⅱ)ロ(Ⅲ)
関係者から必要な利用者の情報提供数1回
(カンファレンス以外の方法により実施)
1回
(カンファレンスにより実施)
2回以上
(カンファレンス以外の方法により実施)
2回
(うち1回以上はカンファレンスを実施)
3回以上
(うち1回以上はカンファレンスを実施)

6.3.カンファレンスについて(令和3年要件追加)

退院・退所加算のカンファレンスはそれぞれの退院・退所前施設で内容が異なっているみたいです。

また令和3年度の介護報酬改定より退院・退所前施設共通の要件として、

退院・退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合は、以下の職種が必要に応じ参加します。

  • 福祉用具専門相談員
  • 居宅サービスを提供する作業療法士等
 

以下からは退院・退所前施設ごとの要件の違いです。

 
  • 病院または診療所

診療報酬の算定方法(平成 20 年厚生労働省告示第 59 号)別表第一医科診療報酬点数表の退院時共同指導料2の注3の要件を満たしている。

退院後に福祉用具の貸与が見込まれる場合にあっては、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加する。

 
  • 地域密着型介護老人福祉施設

入所者への援助及び居宅介護支援事業者への情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。

ただし、基準第 131 条第1項に掲げる地域密着型介護老人福祉施設に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。

退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合にあっては、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加する。

  •  介護老人福祉施設

入所者への援助及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。

ただし、基準第2条に掲げる介護老人福祉施設に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。

退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合にあっては、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加すること。

 

  •  介護老人保健施設

入所者への指導及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。

ただし、基準第2条に掲げる介護老人保健施設に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。

退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合にあっては、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加すること。

  • 介護医療院 

入所者への指導及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。

ただし、基準第4条に掲げる介護医療院に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。

退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合にあっては、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加すること。

  • 介護療養型医療施設(平成 35 年度末までに限る。)

患者に対する指導及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。

ただし、基準第2条に掲げる介護療養型医療施設に置くべき従業者及び患者又はその家族が参加するものに限る。

退院後に福祉用具の貸与が見込まれる場合にあっては、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加すること。

6.4.同一日

退院・退所加算において以下の場合。

  • 必要な情報提供を複数回受けた
  • カンファレンスに参加

これを同一日に行った際は、基本1回としてカウントしていきます。

6.5.退院後7日以内

原則として必要な情報を得るのは退院・退所前となっています。

が、

退院後7日以内に情報を得た場合も算定可能です。

6.6.カンファレンス出席時

退院・退所前施設で利用者に関わるカンファレンスに参加した場合。

退院・退所情報記録書だけではなくて、以下の要点を居宅サービス計画等に記録、利用者または家族に提供した文書の写しを添付します。

  • カンファレンス日時
  • 開催場所
  • 出席者
  • 内容の要点等

7.Q&A

問 120 カンファレンスに参加した場合は、「利用者又は家族に提供した文書の写しを添付すること」としているが、具体例を示されたい。

(答)
・ 具体例として、次のような文書を想定しているが、これらの具体例を踏まえ、個々の状況等に応じて個別具体的に判断されるものである。
・ なお、カンファレンスに参加した場合の記録については、居宅介護支援経過(第5表)の他にサービス担当者会議の要点(第4表)の活用も可能である。
<例>
・ カンファレンスに係る会議の概要、開催概要、連携記録 等

令和3年度介護報酬改定Q&A(Vol.3)

問19「医師等からの要請により~」とあるが、医師等から要請がない場合(介護支援専門員が自発的に情報を取りに行った場合)は、退院・退所加算は算定できないのか。

(答) 介護支援専門員が、あらかじめ医療機関等の職員と面談に係る日時等の調整を行った 上で、情報を得た場合も算定可能。

ただし、3回加算を算定することができるのは、3回のうち1回について、入院中の担当医等との会議(カンファレンス)に参加して、退院後の在宅での療養上必要な説明(診療報 酬の算定方法別表第一医科診療報酬点数表の退院時共同指導料二の注3の対象となるもの)を行った上で、居宅サービス計画を作成し、居宅サービス又は地域密着型サービスの利用に関する調整を行った場合に限る。

なお、当該会議(カンファレンス)への参加については、3回算定できる場合の要件として規定しているものであるが、面談の順番として3回目である必要はなく、また、面談1回、当該会議(カンファレンス)1回の計2回、あるいは当該会議1回のみの算定も可能である。

 24.3.30 事務連絡 介護保険最新情報vol.273 「平成24年度介護報酬改定に 関するQ&A(Vol.2)(平成24 年3 月30 日)」の送付について

問20 退院・退所加算について、「また、上記にかかる会議(カンファレンス)に参加した場合は、(1)において別途定める様式ではなく、当該会議(カンファレンス)等の日時、開催場所、出席者、内容の要点等について居宅サービス計画等に記録し、利用者又は家族に提供した文書の写しを添付すること。」とあるが、ここでいう居宅サービス計画等とは、具体的にどのような書類を指すのか。

(答)居宅サービス計画については、「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日付け老企第29号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)において、標準例として様式をお示ししているところであるが、当該様式の中であれば 第5表の「居宅介護支援経過」の部分が想定され、それ以外であれば上記の内容を満た すメモ等であっても可能である。

24.3.30 事務連絡 介護保険最新情報vol.273 「平成24年度介護報酬改定に 関するQ&A(Vol.2)(平成24 年3 月30 日)」の送付について

問21.入院中の担当医等との会議(カンファレンス)に参加した場合、当該会議等の日時、開催場所、出席者、内容の要点等について記録し、『利用者又は家族に 提供した文書の写し』を添付することになっているが、この文書の写しとは診療報酬の退院時共同指導料算定方法でいう「病院の医師や看護師等と共同で退 院後の在宅療養について指導を行い、患者に情報提供した文書」を指すと解釈してよいか。

(答)そのとおり。

24.3.30 事務連絡 介護保険最新情報vol.273 「平成24年度介護報酬改定に 関するQ&A(Vol.2)(平成24 年3 月30 日)」の送付について

問7.転院・転所前の医療機関等から提供された情報を居宅サービス計画に反映した場合、退院・退所加算を算定することは可能か。

(答)可能である。

退院・退所加算は、原則、利用者の状態を適切に把握できる退院・退所前の医療機関等との情報共有に対し評価するものであるが、転院・転所前の医療機関等から提供された情報であっても、居宅サービス計画に反映すべき情報であれば、退院・退所加算を算定することは可能である。

なお、この場合においても、退院・退所前の医療機関等から情報提供を受けていることは必要である。

24.4.25 事務連絡 介護保険最新情報vol.284 「平成24年度介護報酬改定に 関するQ&A(vol.3)(平成24 年4月25日)」の送付について

問8.4月に入院し、6月に退院した利用者で、4月に1回、6月に1回の計2回、医療機関等から必要な情報の提供を受けた場合、退院・退所加算はいつ算定するのか。

(答)利用者の退院後、6月にサービスを利用した場合には6月分を請求する際に、2回分の加算を算定することとなる。

なお、当該月にサービスの利用実績がない場合等給付管理票が作成できない場合は、 当該加算のみを算定することはできないため、例えば、6月末に退院した利用者に、7月から居宅サービス計画に基づいたサービスを提供しており、入院期間中に2回情報の提供を受けた場合は、7月分を請求する際に、2回分の加算を算定することが可能である。 ただし、退院・退所後の円滑なサービス利用につなげていることが必要である。

24.4.25 事務連絡 介護保険最新情報vol.284 「平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(vol.3)(平成24 年4月25日)」の送付について 

問65.退院・退所加算の算定に当たり、居宅サービス又は地域密着型サービスを利用した場合、具体的にいつの月に算定するのか。

(答)退院又は退所に当たって、保険医療機関等の職員と面談等を行い、利用者に関する必要な情報の提供を得た上で、居宅サービス計画を作成し、居宅サービス又は地域密着型サービスの利用に関する調整を行った場合で、当該利用者が居宅サービス又は地域密着型サービスの利用を開始した月に当該加算を算定する。

ただし、利用者の事情等により、退院が延長した場合については、利用者の状態の変化が考えられるため、必要に応じて、再度保険医療機関等の職員と面談等を行い、直近の情報を得ることとする。

なお、利用者の状態に変化がないことを電話等で確認した場合は、保険医療機関等の職員と面談等を行う必要はない。

21.3.23 介護保険最新情報vol.69 平成21年4月改定関係Q& A(vol.1) 

問66.病院等の職員と面談等を行い、居宅サービス計画を作成したが、利用者等の事情により、居宅サービス又は地域密着型サービスを利用するまでに、一定期間が生じた場合の取扱いについて示されたい。

(答)退院・退所加算については、医療と介護の連携の強化・推進を図る観点から、退院・退所時に、病院等と利用者に関する情報共有等を行う際の評価を行うものである。

また、当該情報に基づいた居宅サービス計画を作成することにより、利用者の状態に応じた、より適切なサービスの提供が行われるものと考えられることから、利用者が当該病院等を退院・ 退所後、一定期間サービスが提供されなかった場合は、その間に利用者の状態像が変化することが想定されるため、行われた情報提供等を評価することはできないものである。

このため、退院・退所日が属する日の翌月末までにサービスが提供されなかった場合は、当該加算は算定することができないものとする。

<例> 6/20 退院・退所日が決まり、病院等の職員と面談等を行い、居宅サービス計画を作成

6/27 退院・退所日

6/27-8/1 サービス提供なし

8/1- 8月からサービス提供開始 上記の例の場合、算定不可

21.3.23 介護保険最新情報vol.69 平成21年4月改定関係Q& A(vol.1) 66

 

問29.退院・退所加算の標準様式例の情報提供書の取扱いを明確にされたい。また、情報提供については、誰が記入することを想定しているのか。

(答)退院・退所加算の標準様式例の情報提供書については、介護支援専門員が病院、診療所、地域密着型介護老人福祉施設又は介護保険施設の職員と面談を行い、適切なケアプランの作成に資するために、利用者に関する必要な情報の提供を得るために示したものである。

したがって、当該情報提供書については、上記の趣旨を踏まえ、介護支援専門員が記入することを前提としているが、当該利用者の必要な情報を把握している病院等の職員が記入することを妨げるものではない。 なお、当該情報提供書は標準様式例であることを再度申し添える。

21.4.17 介護保険最新情報vol.79 平成21年4月改定関係Q& A(vol.2) 

問110.入院又は入所期間中につき3回まで算定できるとあるが、入院期間の長短にかかわらず、必要の都度加算できるようになるのか、あるいは1月あたり1回とするのか。 また、同一月内・同一機関内の入退院(所)の場合はどうか。

(答)利用者の退院・退所後の円滑な在宅生活への移行と、早期からの医療機関等との関係を構築していくため、入院等期間に関わらず、情報共有を行った場合に訪問した回数(3回を限度)を評価するものである。

また、同一月内・同一機関内の入退院(所)であっても、それぞれの入院・入所期間において訪問した回数(3回を限度)を算定する。

※ ただし、三回算定することができるのは、そのうち一回について、入院中の担当医等との会議(カンファレンス)に参加して、退院後の在宅での療養上必要な説明(診療報酬の退院時共同指導料二の注三の対象となるもの)を行った上で、居宅サービス計画を作成し、居宅サービス又は地域密着型サービスの利用に関する調整を行った場合に限る。

24.3.16 事務連絡 介護保険最新情報vol.267 「平成24年度介護報酬改定に 関するQ&A(Vol.1)(平成24 年 3 月16 日)」の送付について

問111.病院に入院・退院し、その後老健に入所・退所した場合の算定方法は、次の① ~③のいずれか。 ① 病院、老健でそれぞれ算定。 ② 病院と老健を合わせて算定。 ③ 老健のみで算定。

(答)退院・退所に当たっては、共有した情報に基づき居宅サービス計画を作成することにより、より適切なサービスの提供が行われるものと考えられることから、利用者の状態を適切に把握できる直近の医療機関等との情報共有に対し評価すべきものであり、本ケース においては③で算定する。

24.3.16 事務連絡 介護保険最新情報vol.267 「平成24年度介護報酬改定に 関するQ&A(Vol.1)(平成24 年 3 月16 日)」の送付について

問140.退院・退所加算(Ⅰ)ロ、(Ⅱ)ロ及び(Ⅲ)の算定において評価の対象となるカ ンファレンスについて、退所施設の従業者として具体的にどのような者の参加が想定されるか。

(答)退所施設からの参加者としては、当該施設に配置される介護支援専門員や生活相談員、支援相談員等、利用者の心身の状況や置かれている環境等について把握した上で、 居宅介護支援事業所の介護支援専門員に必要な情報提供等を行うことができる者を想定している。

30.3.22 事務連絡 「平成30年度介護報酬改定に 関するQ&A(vol.1)(平成30年3 月23日)」の送付について 

 

8.参考

令和3年度介護報酬改定における改定事項について

指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(令和3年厚生労働省告示第73号)

指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について

9.最後に

退院・退所加算は利用者の現状況を把握し、居宅サービス計画に落とし込む為に必要な作業の一つとなっています。

なるべく密に連携を図りより良い居宅サービス計画を作成できるようにしていきましょう。

 

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