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平成30年度の介護報酬改定では入所者の医療ニーズに即座に対応出来る事を評価する加算がいくつか創設・改定されました。
今回は創設された加算の1つ、『配置医師緊急時対応加算』について話したいと思います。
目次
▼目次▼
1.背景
平成30年度の介護報酬改定前は特養で夜間帯や早朝に配置医師が入所者の急変等の対応を行っても報酬の評価は無く、配置医師へ交通費や謝礼が出来ないなどの課題がありました。
今後、国は特養でも医療ニーズに対応できる様に、夜間帯や早朝でも診療出来る環境を整備し、入院の減少や看取り介護の促進を考えています。
このような課題解決や方針により平成30年度の介護報酬改定で『配置医師緊急時対応加算』を創設しました。
<2.算定可能な施設
配置医師緊急時対応加算を算定できる施設は以下の場所です。
- 介護老人福祉施設
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
3.単位数
『配置医師緊急時対応加算』は時間帯によって単位数が異なります。
単位数 | |
早朝・夜間の場合 | 650単位/回 |
深夜の場合 | 1300単位/回 |
ちなみに時間帯設定は以下の通りです。
- 早朝・・・(6時 ~ 8時)
- 夜間・・・(18時 ~ 22時)
- 深夜・・・(22時 ~ 6時)
4.算定要件
配置医師緊急時対応加算の主な算定要件は以下のようになっています。
- 入所者に対する緊急時の注意事項や病状等についての情報共有の方法及び曜日や時間帯ごとの医師との連絡方法や診察を依頼するタイミングなどについて、配置医師と施設の間で、具体的な取り決めがなされていること。
- 複数名の配置医師を置いていること、若しくは配置医師と協力医療機関の医師が連携し、施設の求めに応じて24時間対応できる体制を確保していること。
- 上記の内容につき、届出を行っていること。
- 看護体制加算(Ⅱ)を算定していること。
- 早朝・夜間又は深夜に施設を訪問し、診療を行う必要があった理由を記録すること。
これらの算定要件を一つずつ紐解いていきたいと思います。
5.配置医師の緊急対応で算定可能
この配置医師緊急時対応加算で忘れてはならないのは、『配置医師』が施設に来て頂かないと算定できない点です。
例え協力医療機関の医師が赴いても、算定は出来ないことを覚えておいてください。
また配置医師の緊急性がある診療に関しての評価加算ですので、意図して深夜や早朝の計画的・定期的な診療はもちろん算定外です。
6.死亡診断の場合は算定可能
ただし例外が1つだけあって、死期が迫り死亡診断を行う場合は算定が可能です。
そのためには施設職員と家族に事前に説明をしておくことが大切です。
説明の方法は看取り同意書の文言に記載したり、担当者会議等で説明するなどの対応等が考えられそうです。
7.長時間の場合は割合で判断
診療時間が長時間になり加算対象の時間帯が全体の診療時間に比べ、ごくわずかな場合は算定は出来ません。
『ごくわずかな』曖昧な表現ですが、これは施設の判断に委ねられるものだと思います。
8.診療時の記録の要点
配置医師が訪問し、診療を行った場合は以下の内容を記録に残さなければなりません。
以下の文言を記載するようになっています。
- 診療を依頼した時間と内容
- 配置医師が診療を行った時間と内容
9.配置医師との対応指針
算定要件には配置医師と施設との間に24時間対応可能な体制整備を行う必要があります。
その為に緊急時の注意事項や病状等の具体的な取り決めをしていかなければなりません。
例えば、
- 情報共有の方法
- 曜日や時間帯ごとの医師との連携方法
- 診察を依頼するタイミング
を書面に残す必要があります。
10.看護体制加算(Ⅱ)の算定も
配置医師緊急時対応加算の算定要件には看護体制加算(Ⅱ)を取得している必要があります。
看護体制加算(Ⅱ)の要件は以下の内容です。
- 定員30人又は51人以上
- 看護職員の数常勤換算方法25:1かつ人員基準配置数+1
- 看護職員との連携による24時間の連絡体制
- 定員、人員基準に適合
とありますので、再度確認してみて下さい。
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11.配置医師の届出を忘れずに
配置医師緊急時対応加算は事前に対応する配置医師の届出が必要となります。
この届出に記載された配置医師のみが算定が可能なので、登録を忘れない様にしましょう。
届出を行う際は
- 『特別養護老人ホーム等の施設の状況及び配置医師について(別紙様式)』に記載された配置医師なのか
- 届出に記載されている算定要件を満たす書類の提出
が必要になるので注意をしてください。
12.Q&A
問 91 配置医師緊急時対応加算の趣旨如何。(答) 配置医師が行う健康管理等の対応については個別の契約により給与や委託費等を 支払う形式が基本になっていると思われるが、今回の配置医師緊急時対応加算につい ては、これまで、配置医師が緊急時の対応を行ったような場合について報酬上の上乗せの評価等が存在しなかったことや、施設の現場において緊急時の対応を行った配置医師に対する謝金や交通費の負担についての課題が存在したことから、配置医師が深 夜等に緊急時の対応を行う環境を整備し、こうした対応を推進するために、新たな加 算を設けることとしたものである。こうした趣旨を踏まえて、加算を活用されたい。
問 92 早朝・夜間又は深夜に診療を行う必要があった理由とは、具体的にはどのよう なものか。(答) 例えば、入所者の体調に急変が生じ、緊急的にその対応を行う必要があったことが 考えられる。
問 93 協力医療機関の医師が対応したときでも算定可能か。(答) 配置医師が対応した場合のみ算定可能である。
13.詳細
今回はざっと配置医師緊急時対応加算に関する内容を通りましたが、詳細は以下の厚生労働省のサイトに記載されています。
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について
14.最後に
平成30年度の介護報酬改定で様々な新規加算が創設され、その1つである配置医師緊急時対応加算も重要な加算です。
加算の算定要件をしっかり把握し、適切に加算を取得していきましょう。