いつもお世話になっております!Pスケ(@kaigonarehabilid)です。
平成30年度の介護報酬改定では新規加算の創設や加算の算定要件変更などがあり、そのの中でも減算幅が大きくなったのに『身体拘束廃止未実施減算』があります。
ってことで今回は『減算幅が増大!しっかり対策しよう!! 身体拘束廃止未実施減算になる詳しい要件』を話したいと思います。
目次
▼目次▼
1.背景
平成12年の介護保険法が施行されてから身体拘束は原則廃止となりました。
身体に危険を及ぼす等のやむを得ない場合を除き身体拘束を行ってはならないことになっています。
しかし施設等でやむを得ず身体拘束を行った場合は、身体状況などの拘束を行っている理由を記録しなければなりません。
今までは身体拘束の記録を適切に実施しなかった時は、入所者全員から5単位/日減算されてました。
しかし拘束廃止の取り組みや職員への周知などは各施設に委ねられていたので、今回の介護報酬改定より身体拘束の取り組みの明確化、周知などを適正に行うように明記されるようになりました。
2.減算点数
介護報酬改定前の身体拘束未実施減算の点数は5単位/日を全入所者に減算することでした。
しかし今回の介護報酬改定によりパーセンテージの減算になります。
単位数 | |
身体拘束廃止未実施減算 | 10%/日減算 |
これは所定単位数の10%を全入所者から減算します。
なので100人定員の特養になると1月に数百万円前後収益が減らされるので、かなりの痛手になりそうです。
3.減算開始日
減算開始日は要件を満たしていない事実が発生した月の翌月から改善が認められた月までの間に減算が行われます。
また減算の事実が生じた月から3 月後に改善計画を都道府県知事に報告する必要があります。
詳細は指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項についてをご確認ください。
4.減算要件
今回の身体拘束廃止未実施減算は以下の要件を満たさなければ減算となります。
- 身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録すること。
- 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(以下『身体的拘束適正化検討委員会』)を3月に1回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他従業者に周知徹底を図ること。(※)
- 身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。
- 介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。
(※) 地域密着型介護老人福祉施設、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護における上記の委員会については、運営推進会議を活用することができる。
5.記録
記録に関しては以下の内容を記載する必要があります。
- 態様
- 時間
- 心身の状況
- 拘束をするやむを得ない理由
これらの記載事項を念頭に記録を行い、施設内の身体的拘束適正化検討委員会に報告する必要があります。
6.身体的拘束適正化検討委員会の開催
身体拘束廃止未実施減算では身体拘束の適正化を図ることを検討する委員会を設置する必要があります。
身体的拘束適正化委員会の業務として以下の内容を協議します。
- 報告、改善の方策の決定
- 情報共有
- 再発防止
身体的拘束適正化検討委員会の要件として
- 3か月に1回以上開催
- 構成員は多職種が推奨
- 専任の担当を選出
- 第三者や専門家の活用を推奨
とあります。
この身体的拘束適正化委員会は事故防止委員会や感染対策委員会と一緒に運営可能です。
身体的拘束適正化委員会の詳細な業務内容は以下のサイトに記載されていますので、ご覧ください。
9(3) 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について)
7.身体的拘束等の適正化のための指針
身体拘束の為の指針も整備する必要があり、以下の項目を盛り込むことが必要です。
9(4) 身体的拘束等の適正化のための指針(第6項第2号)
- 施設における身体的拘束等の適正化に関する基本的考え方
- 身体的拘束適正化検討委員会その他施設内の組織に関する事項
- 身体的拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
- 施設内で発生した身体的拘束等の報告方法等のための方策に関する基本方針
- 身体的的拘束等発生時の対応に関する基本方針
- 入所者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
- その他身体的拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針
上記の内容を現在施設にある身体拘束のマニュアルを見ながら、訂正していくことをおススメします。
8.定期的な身体拘束研修の実施
身体拘束の適正化のための研修を行う必要があります。
研修開催数として年2回以上行い、新規採用時には必ず行わなければなりません。
研修は『身体拘束の基礎的内容等の知識を普及・啓発』の内容を含む必要があります。
研修内容の記録を残すことも忘れないようにしてください。
詳細は9(5) 身体的拘束等の適正化のための従業者に対する研修をご確認ください。
[quads id=1]9.指針や研修の参考に
指針や研修を実施する際に様々な団体から指針やマニュアルが発行されています。
厚生労働省からも『身体拘束ゼロへの手引き』というのも発行されているので、参考にしてもいいかもしれません。
10.Q&A
問 87・問117.新たに基準に追加された体制をとるためには準備が必要であると考えられるが、何時の時点から減算を適用するか。(答).施行以後、最初の身体拘束廃止に係る委員会を開催するまでの3ヶ月の間に指針等を整備する必要があるため、それ以降の減算になる。
引用:平成 30 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(平成30年3月23日)
Q.(介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護)身体拘束廃止未実施減算については、「身体拘束の記録を行っていない事実が生じた場合、速やかに改善計画を市町村長に提出した後、事実が生じた月から3ヵ月後に改善計画に基づく改善状況を市町村長に報告することとし、事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間について減算する」こととされているが、施設監査に行った際に身体拘束に係る記録を行っていないことを発見した場合、いつからいつまでが減算となるのか。また、平成18年4月前の身体拘束について記録を行っていなかった場合は、減算の対象となるのか。
・身体拘束の記録を行っていなかった日:平成18年4月2日
・記録を行っていなかったことを発見した日:平成18年7月1日
・改善計画を市町村長に提出した日:平成18年7月5日A.身体拘束廃止未実施減算については、身体拘束の記録を行っていない事実が生じた場合、速やかに改善計画を市町村長に提出し、これに基づく改善状況を3か月後に報告することになっているが、これは、事実が生じた月に改善計画を速やかに提出させ、改善計画提出後最低3か月間は減算するということである。
したがって、お尋ねのケースの場合、改善計画が提出された平成18年7月を基準とし、減算はその翌月の同年8月から開始し、最短でもその3か月後の10月までとなる。
なお、身体拘束廃止未実施減算は、平成18年4月から新たに設けたものであることから、同月以降に行った身体拘束について記録を行っていなかった場合に減算対象となる。引用:18.9.4 介護制度改革informationvol.127 事務連絡 介護老人福祉施設及び地域密着型サービスに関するQ&A
11.最後に
身体拘束は起こしてはならないことですが、施設に勤めていればやむを得ないことが多々あります。
身体拘束に関する減算が起こらないようにしっかり要件を守り、適正な対策を取っていきましょう。