いつもお世話になっています!Pスケ(@kaigonarehabilid)です。
平成30年度の介護報酬改定から新設された『介護医療院』。
その介護医療院では、機能強化型(介護療養病床相当)の『Ⅰ型』と老健相当の『Ⅱ型』の二つあり、その中でもⅠ型介護医療院サービス費は三つに分けられてあります。
その中で二番目に算定加算が高い、Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅱ)というのが存在します。
ってことで、今回は『療養機能強化型B相当!Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅱ)の算定要件とQ&A』について話したいと思います。
因みに、Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ)は以下のページに記載されています。
療養機能強化型A相当!Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ)の算定要件とQ&A - カイゴなリハ |
目次
1.Ⅰ型介護医療院って?
介護医療院の基本サービス費を話す前に、そもそも介護医療って、何なんでしょ?
介護医療院とは医療が整った介護施設で、『終の住処』として看取り・ターミナルケアまで行える在宅施設となっています。
特養と比べ、どちらかというと医療ニーズが高い、経鼻栄養やインスリン投与が必要な方が入所するような施設です。
その介護医療院には老健のように分類があり、療養病床相当の『Ⅰ型』。
老健相当の基準である『Ⅱ型』があります。
またⅠ型、Ⅱ型の両方の人員基準などを満たさないものを『特別』と分けます。
それぞれ加算点数が違いますが、今回はⅠ型介護医療院サービス費の中でも強化型Bに相当するサービス費(Ⅱ)について話します。
ちなみに今回お話しする内容は併設型小規模介護医療院以外の介護医療院で適応されます。
2.加算点数
Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅱ)の加算点数は従来型個室と多床室では点数が異なり、以下のようになっています。
従来型個室 | 多床室 | |
要介護1 | 684 | 791 |
要介護2 | 790 | 898 |
要介護3 | 1,020 | 1,127 |
要介護4 | 1,117 | 1,224 |
要介護5 | 1,205 | 1,312 |
3.算定要件
Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅱ)の算定要件のキーワードとして、
- 人員配置
- 利用定員超過しない
- リハビリの実施
- 地域貢献活動
- 重篤な疾患を有する者及び身体合併症を有する認知症高齢者の割合
- 喀痰吸引、インスリン、経管栄養者の割合
- ターミナルケアの実施割合
が挙げられます。
これらのキーワードの算定要件を全てクリアしないといけません。
1型介護医療院サービス費(Ⅰ)の要件と一緒ですが、大きな違いは要件となる数値が異なります。
異なる数値の箇所として、
- 喀痰吸引、インスリン、経管栄養者の割合
- ターミナルケアの実施割合
が挙げられます。
もちろんですが施設基準もしっかりとしなければなりません。
3.1.人員配置
Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅱ)では、看護職員・介護職員の割合が決まっています。
看護職員 : 利用者 = 1 : 6
介護職員 : 利用者 = 1 : 4
と定まっています。
これは利用者の端数を増すごとに一人増える計算となってます。
これは常勤換算法で求めていき、ここで言う利用者とは短期入所療養介護の利用者も含めて計算しなければなりません。
利用者定員を超えてしまうと、この加算は算定できなくなります。
また看護職員の最小必要数の二割以上は看護師でなければなりません。
3.2.利用定員超過しない
Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅱ)では、都道府県知事に提出した、運営基準に定めた人員よりも超過した場合は、算定が出来なくなってしまいます。
3.3.リハビリの実施
Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅱ)の算定要件として、リハビリの実施が唱われています。
リハビリの目標として、可能な限りその利用者等を在宅生活へ復帰できるように日常生活機能を維持・向上するリハビリを行う必要があります。
医師の指示に基づいて多職種共同で作業療法士などのセラピストが療養生活の中で随時行っていきます。
介護医療院では特別診療として、リハビリの算定が可能となっています。
3.4.地域貢献活動
Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅱ)では地域に貢献するような活動を行わなければなりません。
具体的には、
- 介護予防を含む健康教室
- 認知症カフェ等
利用者と地域住民、高齢者とが交流を保てるような場を提供し、双方の活動と参加の場にしていく必要があります。
また介護医療院自らの創意工夫で地域に貢献する活動をする必要があります。
3.5.重篤な疾患を有する者及び身体合併症を有する認知症高齢者の割合
Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅱ)を算定するにあたり、利用者の疾患等に関する割合によって算定できるか左右されます。
その一つに算定日の属する月の前三月間における入所者で、
重篤な身体疾患有する者
及び
身体合併症を有する認知症高齢者
の占める割合が、
50%以上
いなければなりません。
『重篤な身体疾患を有する者』と『身体合併症を有する認知症高齢者』の2つの条件を満たしている一人の利用者がいた場合は、いずれか一方にのみ含められます。
因みに重篤な疾病を有する者とは以下のどれかに当てはまる利用者を指します。
- NYHA分類Ⅲ以上の慢性心不全の状態
- Hugh-Jones分類Ⅳ以上の呼吸困難の状態又は連続する1週間以上人工呼吸器を必要としている状態
- 各週2日以上の人工腎臓の実施が必要であり、かつ、次に掲げるいずれかの合併症を有する状態。なお、人工腎臓の実施については、他科受診によるものであっても差し支えない。
(a)常時低血圧(収縮期血圧が 90mmHg 以下)
(b)透析アミロイド症で毛根管症候群や運動機能障害を呈するもの
(c)出血性消化器病変を有するもの
(d)骨折を伴う二次性副甲状腺機能亢進症のもの
- Child-Pugh分類C以上の肝機能障害の状態
- 連続する3日以上、JCS100 以上の意識障害が継続している状態
- 単一の凝固因子活性が 40%未満の凝固異常の状態
- 現に経口により食事を摂取している者であって、著しい摂食機能障害を有し、造影撮影(医科診療報酬点数表中「造影剤使用撮影」をいう。)又は内視鏡検査(医科診療報酬点数表中「喉頭ファイバースコピー」をいう。)により誤嚥が認められる(喉頭侵入が認められる場合を含む。)状態
また身体合併症を有する認知症高齢者は以下のどれかに適合する利用者を指します。
- 認知症であって、悪性腫瘍と診断された者
- 認知症であって、次に掲げるいずれかの疾病と診断された者
(a)パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病)
(b)多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)
(c)筋萎縮性側索硬化症
(d)脊髄小脳変性症
(e)広範脊柱管狭窄症
(f)後縦靱帯骨化症
(g)黄色靱帯骨化症
(h)悪性関節リウマチ
- 認知症高齢者の日常生活自立度のランクⅢb、Ⅳ又はMに該当する者
計算のルールとして、
- 小数点第3位以下
- 毎日24時現在介護医療院に入所している
- 入所してその日のうちに退所または死亡した人も含める
- 月末の該当者の割合を求める
- 算定日が属する月の前3月において、平均値が基準に適合している
- 算定日が属する月の前3月において、基準を満たす利用者等の入所延べ日数がすべての利用者等の入所延べ日数に占める割合による
となっています。
3.6.喀痰吸引、インスリン注射、経管栄養者の割合
1型介護医療院サービス費(Ⅱ)では利用者の喀痰吸引、インスリン注射、経管栄養者の割合を算出し、一定の数値を超えていなければなりません。
因みにⅠ型介護医療院サービス費(Ⅱ)の『喀痰吸引』『インスリン注射』『経管栄養』の割合の基準として、
全体の30%以上
占める必要があります。
この数値はⅠ型介護医療院サービス費(Ⅰ)と違いますので、注意してください。
『喀痰吸引』は過去1年間(入所期間が1年以上である利用者は、当該入所期間中(入所時を含む))に喀痰吸引が実施されていた利用者が対象となります。
口腔衛生管理加算
か
口腔衛生管理体制加算
を算定している場合も『喀痰吸引』としてみなされます。
『インスリン注射』の場合は、自己注射を行っている場合は除外されます。
『経管栄養』を実施している利用者とは、過去1年間(入所期間が1年以上である利用者は、当該入所期間中(入所時を含む))に経管栄養が実施されていた利用者が対象です。
『経管栄養』は経鼻経管や胃ろう、腸ろうから栄養を取っている利用者のことを指します。
また
- 経口維持加算
- 栄養マネジメント加算
を算定している利用者も『経管栄養』を実施しているとみなされます。
例えば一人の利用者で『喀痰吸引』と『経管栄養』の両方を実施している場合。
二つの処置を行っているので『喀痰吸引』と『経管栄養』を実施しているそれぞれの人数に含めます。
計算のルールとして、
- 小数点第3位以下
- 毎日24時現在介護医療院に入所している
- 入所してその日のうちに退所または死亡した人も含める
- 月末の該当者の割合を求める
- 算定日が属する月の前3月において、平均値が基準に適合している
- 算定日が属する月の前3月において、基準を満たす利用者等の入所延べ日数がすべての利用者等の入所延べ日数に占める割合による
となっています。
3.7.ターミナルケアの実施割合
1型介護医療院サービス費では利用者のターミナルケアの実施割合を算出し、一定の数値を超えていなければなりません。
因みにⅠ型介護医療院サービス費(Ⅱ)の基準として、
全体の5%以上
占める必要があります。
これはⅠ型介護医療院サービス費(Ⅰ)と数値が異なります。
ターミナルケアの実施の要件として
- 医師が一般的に認められている医学的知見に基づいて回復の見込みがないと診断した利用者。
- 利用者等やその家族等の同意を得て、利用者等のターミナルケアに係る計画が作成されている。
- 医師、看護職員、介護職員等が共同して、利用者等の状態又は家族等の求め等に応じて随時、入所者等又はその家族等への説明を行い、同意を得てターミナルケアが行われている。
のいずれかを満たす必要があります。
計算上の留意点として、
- 上記要件の全てに適合する利用者等の入所延べ日数が、全ての利用者等の入所延べ日数に占める割合が基準を満たすもの
- 小数点第3位以下は切り上げ
- 利用者が十分に判断をできる状態になく、かつ、家族の来所が見込めないような場合も、医師、看護職員、介護職員等が利用者等の状態等に応じて随時、利用者等に対するターミナルケアについて相談し、共同してターミナルケアを行っていると認められる場合を含む。
- 適切なターミナルケアが行われていることが担保されるよう、職員間の相談日時、内容等を記録するとともに、本人の状態や、家族と連絡を取ったにもかかわらず来所がなかった旨を記載しておくことが必要
4.Q&A
Q10.新規に開設される介護医療院について、介護医療院サービス費の算定要件における実績は、どのように取り扱うのか。A.・介護医療院における医療処置の実施割合などの実績を丁寧に把握するためには、算定要件における実績を算出するための期間を十分に設け判定することが重要である。
・そのため、新規に開設される介護医療院については、開設日が属する月を含む6ヶ月間に限り、Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅱ)又は(Ⅲ)若しくはⅡ型介護医療院サービス費のうち人員配置区分に適合した基本施設サービス費を算定可能とする。
・ただし、開設日が属する月を含む6ヶ月間に満たない場合において、算定要件における実績を算出するための期間を満たした上で、例えば、Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ)の算定要件を満たす場合については、届け出の規定に従い、当該基本施設サービス費の届出を行うことができる。また、当該6ヶ月間を超えて、引き続きⅠ型介護医療院サービス費(Ⅱ)又は(Ⅲ)若しくはⅡ型介護医療院サービス費のうち人員配置区分に適合した基本施設サービス費を算定する場合にあっては、改めて体制を届け出る必要がある。
・なお、ユニット型介護医療院サービス費についても同様の取扱いとする。
・また、療養病床等からの転換の場合については、転換前の実績を基に算定要件に適合するか否かを判断して差し支えない。30.3.28事務連絡 介護保険最新情報vol.633「平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)(平成30年3月28日)」の送付について
5.最後に
介護医療院は在宅復帰も出来るし、終の住処にもなれるハイブリッドな施設となっています。
サービス費は算定要件の数値によって、取得できる区分が変わります。
なるべく一番いい加算を取得するように努めていきましょう。