いつもお世話になっています!Pスケ(@kaigonarehabilid)です。
介護報酬には様々な加算があり、その中の一つに『サービス提供体制強化加算』というのが存在します。
って、ことで今回は『長期勤続やケアスタッフの割合を評価!サービス提供体制強化加算の算定要件とQ&A』について話したいと思います。
目次
1.取得可能施設
サービス提供体制強化加算は色々な施設形態で取得が可能となっています。
しかし今回は『介護老人保健施設』の取得要件について話したいと思います。
2.加算点数
介護老人保健施設のサービス提供体制強化加算では算定要件ごとに階級が決まっており、以下のようになっています。
単位数 | |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イ |
18単位/日 |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)ロ | 12単位/日 |
サービス提供体制強化加算(Ⅱ) |
6単位/日 |
サービス提供体制強化加算(Ⅲ) |
6単位/日 |
サービス提供体制強化加算は上の図の内、1つしか算定出来ません。
3.算定要件
介護老人保健施設のサービス提供体制強化加算の算定要件を種別ごとに説明します。
主な算定要件の項目は
- 人員配置の割合
- 定員超過・人員基準欠如がない
の2つが揃っていれば算定可能となってます。
3.1.1.サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イ
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イの算定要件は以下のようになっています。
①介護福祉士の数
÷
介護老人保健施設の介護職員総数×100
≧60%
②十三.厚生労働大臣が定める入所者の数の基準及び医師等の員数の基準並びに介護保健施設サービス費の算定方法
に記載されている老健での定員人数や職員の人員基準欠如が無いことが要件です。
各職種の人員基準は以下のサイトに記載されています。
介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準の第二章 人員に関する基準(第二条)
3.1.2.サービス提供体制強化加算(Ⅰ)ロ
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)ロは、介護福祉士の割合が5割以上必要です。
①介護福祉士の数
÷
介護老人保健施設の介護職員総数×100
≧50%
②十三.厚生労働大臣が定める入所者の数の基準及び医師等の員数の基準並びに介護保健施設サービス費の算定方法
に記載されている老健での定員人数超過や職員の人員基準欠如がないこと。
3.1.3.サービス提供体制強化加算(Ⅱ)
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)は、職員割合の対象が『看護・介護職員』の常勤職員数を求めます。
①看護・介護職員の常勤職員数
÷
看護・介護職員の総数×100
≧75%
②十三.厚生労働大臣が定める入所者の数の基準及び医師等の員数の基準並びに介護保健施設サービス費の算定方法
に記載されている老健での定員人数超過や職員の人員基準欠如がないこと。
3.1.4.サービス提供体制強化加算(Ⅲ)
サービス提供体制強化加算(Ⅲ)は、職員割合の対象が『勤続三年以上』の利用者又は入所者に直接関わる職員数を求めます。
①勤続三年以上の利用者又は入所者に直接関わる職員数
÷
利用者又は入所者に直接関わる職員の総数×100
≧30%
②十三.厚生労働大臣が定める入所者の数の基準及び医師等の員数の基準並びに介護保健施設サービス費の算定方法
に記載されている老健での定員人数超過や職員の人員基準欠如がないこと。
4.注意点
4.1.常勤換算法で計算
サービス提供体制強化加算を計算する際に、職員の割合を出すわけですが、この算出方法は常勤換算法を使用します。
ここで表す常勤換算での介護職員とは、計画作成などの介護に関わる業務は時間に含まれます。
しかし請求業務などの介護に関わりのないものは時間に含まれません。
また職員の割合は前年度の平均(3月を除いた平均)で算出します。
もし老人保健施設を新規開業したり、施設を再開始となり前年度の営業期間が6月間を満たさない場合。
届け出日の属する月から前3月間の常勤換算方法の平均を算出します。
つまり新規事業や再開始となった事業所は4月目以降に届け出を提出すれば算定可能となります。
4.2.介護福祉士の計算方法
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イとサービス提供体制強化加算(Ⅰ)ロでは、介護福祉士の数を算出する必要があります。
介護福祉士の数を出す際に注意しなければならないことは、各月の前月の末日時点で資格を取得している数を算出します。
4.3.直接関わる職員とは
サービス提供体制強化加算(Ⅲ)などで記載されている『直接関わる職員』とは?
直接関わる職員は以下の職種を指します。
- 看護職員
- 介護職員
- 支援相談員
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
4.4.毎月割合を算出
サービス提供体制強化加算の届け出を提出し、算定した後も毎月所定の割合を維持する必要があります。
その際は記録として残す必要があり、もし下回った場合は直ちに訂正の届け出を出す必要があります。
4.5.勤続年数について
サービス提供体制強化加算(Ⅲ)では勤続年数を算出する必要があります。
勤続年数の算出は各月の前月の末日時点での年数を求めます。
具体的に述べると、2019年4月時点での勤続年数3年以上の者とは、2019年3月31日時点で3年以上経っている者を指します。
また勤続年数は同一法人が経営する
- 介護サービス事業所
- 病院
- 社会福祉施設など
同一法人内の他施設でも利用者に対し、職員として直接サービスを提供した年数も含めることが出来ます。
4.6.介護予防短期入所生活介護を行っている場合
老健の同一事業所で介護予防短期入所生活介護を一体的に提供している場合。
サービス提供体制強化加算の計算も一体的に行えるようになっています。
5.Q&A
問5.同一法人内であれば、異なるサービスの事業所(施設)における勤続年数や異なる業種(直接処遇職種)における勤続年数も通算できるのか。さらに、事業所間の出向や事業の承継時にも通算できるのか。
また、理事長が同じであるなど同一グループの法人同士である場合にも通算できるのか。答.同一法人であれば、異なるサービスの事業所での勤続年数や異なる職種(直接処遇を行う職種に限る。)における勤続年数については通算することができる。また、事業所の合併又は別法人による事業の承継の場合であって、当該施設・事業所の職員に変更がないなど、事業所が実質的に継続して運営していると認められる場合には、勤続年数を通算することができる。ただし、グループ法人については、たとえ理事長等が同じであったとしても、通算はできない。
21.3.23 介護保険最新情報vol.69 平成21年4月改定関係Q&A(vol.1)
Q6.産休や病欠している期間は含めないと考えるのか。答.産休や介護休業、育児休業期間中は雇用関係が継続していることから、勤続年数に含めることができる。
21.3.23 介護保険最新情報vol.69 平成21年4月改定関係Q&A(vol.1)
Q8.一つの病棟内に介護療養病床とその他の病床(医療療養病床など)が混在する場合の、介護福祉士の割合等の算出方法如何。答.一つの病棟内に介護療養病床と医療療養病床等が混在する場合については、病棟単位で介護福祉士の割合等を算出する。ただし、例外的に、病室単位で介護療養病床としての指定を受け、医療療養病床及び介護療養病床各々において人員基準を満たしている場合については、介護療養病床として指定を受けている病室に配置された職員のみで介護福祉士の割合等を算出することができることとする。
21.3.23 介護保険最新情報vol.69 平成21年4月改定関係Q&A(vol.1)
Q10.「届出日の属する月の前三月について、常勤換算方法により算出した平均を用いる」こととされている平成21年度の1年間及び平成22年度以降の前年度の実績が6月に満たない事業所について、体制届出後に、算定要件を下回った場合はどう取扱うか。答.サービス提供体制強化加算に係る体制の届出に当たっては、老企第36号等において以下のように規定されているところであり、これに従った取扱いとされたい。
「事業所の体制について加算等が算定されなくなる状況が生じた場合又は加算等が算定されなくなることが明らかな場合は、速やかにその旨を届出させることとする。なお、この場合は、加算等が算定されなくなった事実が発生した日から加算等の算定を行わないものとする。」
具体的には、平成21年4月に算定するためには、平成20年12月から平成21年2月までの実績に基づいて3月に届出を行うが、その後平成21年1月から3月までの実績が基準を下回っていた場合は、その事実が発生した日から加算の算定は行わないこととなるため、平成21年4月分の算定はできない取扱いとなる。
21.3.23 介護保険最新情報vol.69 平成21年4月改定関係Q&A(vol.1)
Q.8 一部ユニット型施設・事業所について、当該施設・事業所のユニット型部分とユニット型以外の部分をそれぞれ別施設・事業所として指定した場合、サービス提供体制強化加算を算定する上で、前年度の職員の割合はどのように算出すればよいか。
答.別施設・事業所として指定等した当該年度については、双方の施設・事業所を一体として前年度の実績に基づき職員の割合を算出する。この場合、双方の施設・事業所においてサービス提供体制強化加算を算定可能である。
翌年度については、別施設・事業所として指定等した以後の実績に基づいて、それぞれの施設・事業所について職員の割合を算出する。
23.9.30 事務連絡 介護保険最新情報vol.238 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令の施行に伴う指定、介護報酬等の取扱いについて
Q63.サービス提供体制強化加算の新区分の取得に当たって、職員の割合については、これまでと同様に、1年以上の運営実績がある場合、常勤換算方法により算出した前年度の平均(3月分を除く。)をもって、運営実績が6月に満たない事業所(新たに事業を開始した事業所又は事業を再開した事業所)の場合は、4月目以降に、前3月分の実績をもって取得可能となるということでいいのか。答.貴見のとおり。
なお、これまでと同様に、運営実績が6月に満たない場合の届出にあっては、届出を行った月以降においても、毎月所定の割合を維持しなければならず、その割合については毎月記録する必要がある。
27.4.30 事務連絡「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(vol.2)(平成27年4月30日)」の送付について
Q64.サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イとサービス提供体制強化加算(Ⅰ)ロは同時に取得することは可能か。不可である場合は、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イを取得していた事業所が、実地指導等によって、介護福祉士の割合が60%を下回っていたことが判明した場合は、全額返還となるのか。答.サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イとサービス提供体制強化加算(Ⅰ)ロを同時に取得することはできない。
また、実地指導等によって、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イの算定要件を満たさないことが判明した場合、都道府県知事等は、支給された加算の一部又は全部を返還させることが可能となっている。
なお、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イの算定要件を満たしていないが、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)ロの算定要件を満たしている場合には、後者の加算を取得するための届出が可能であり、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イの返還等と併せて、後者の加算を取得するための届出を行うことが可能である。
6.参考
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成30年度)
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成27年度)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成27年度)
7.最後に
サービス提供体制強化加算は算定要件が若干違えど、他事業所でも算定可能な加算です。
しっかり要件を把握し、条件を満たすように心掛けていきましょう。