いつもお世話になっています!Pスケ(@kaigonarehabilid)です。
平成30年度の介護報酬改定によって様々な新規加算の創設や既存の加算の算定要件変更が行われました。
その中で、介護老人保健施設(以下、老健)は在宅支援の度合いにより『強化型』『基本型』『その他、特別』に分けられました。
この区分によって、算定点数の減少や取得することが出来なくなる加算があります。
ってことで、今回は『介護保健施設サービス費(Ⅳ)は低い点数や算定できない加算が多い?!』について話したいと思います。
ここではユニット型介護保健施設サービス費(Ⅳ)も含めます。
▼目次▼
1.介護保健施設サービス費(Ⅳ)とは?
冒頭でも話しましたが、老健は平成30年度の介護報酬改定により、『強化型』『基本型』『その他、特別』に分けられました。
『強化型』『基本型』にあたる『介護施設サービス費(Ⅰ)』を取得するには、在宅支援と手厚いリハを中心とした指標があります。
在宅強化型 | 基本型 | その他型(特別等) | |
在宅復帰・在宅療養支援等指標 (最高値:90) | 60以上 | 20以上 | 左記の要件を満たさない |
リハビリテーションマネージメント | 要件あり | 要件あり | |
退所時指導等 | 要件あり | 要件あり | |
地域貢献活動 | 要件あり | 要件なし | |
充実したリハ | 要件あり | 要件なし |
この施設区分方法については以下のページに記載されてますので、ご覧下さい。
この要件を満たさず『強化型』『基本型』の施設区分から外れたら、『その他、特別』という施設区分に分けられます。
この『その他、特別』という区分は他の施設区分と比べ、低い算定点数や加算が取得できないなどの弊害があるのです。
2.介護保健施設サービス費(Ⅳ)の低い算定点数
『その他、特別』という施設区分の介護保健施設サービス費(Ⅳ)は他の『強化型』『基本型』と比べ低い点数になってます。
以下に多床室の介護施設サービス費(Ⅳ)と、同じ多床室の介護施設サービス費(Ⅰ)の(ⅲ)(ⅳ)の表があります。
介護保健施設サービス費(Ⅳ)
②介護保健施設サービス費(ⅱ)
<多床室>{特別、その他}
点数 | |
要介護 1 | 756単位/日 |
要介護 2 | 803単位/日 |
要介護 3 | 862単位/日 |
要介護 4 | 912単位/日 |
要介護 5 | 964単位/日 |
介護保健施設サービス費(Ⅰ)
<多床室>{基本型}
点数 | |
要介護 1 | 771単位/日 |
要介護 2 | 819単位/日 |
要介護 3 | 880単位/日 |
要介護 4 | 931単位/日 |
要介護 5 | 984単位/日 |
<多床室>{在宅強化型}
点数 | |
要介護 1 | 818単位/日 |
要介護 2 | 892単位/日 |
要介護 3 | 954単位/日 |
要介護 4 | 1,010単位/日 |
要介護 5 | 1,065単位/日 |
上の表を見たら分かるように、要介護度3を取ってみても、『基本型』と『その他、特別』の差は、18単位/日。
『強化型』との差に至っては92単位/日となり、月換算(1月が30日)すると、
基本型 = 540単位
強化型 = 2760単位
となり、『その他、特別』と比較すると、他の区分より収益が著しく低下することになります。
3.取得可能な加算の減少
介護保健施設サービス費(Ⅳ)は他の介護保健施設サービス費と違い、取得できない加算があります。
列挙すると、
・認知症短期集中リハビリテーション実施加算(240単位/日)
・在宅復帰・在宅療養支援機能加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅰ:34単位/日、Ⅱ:46単位/日)
・再入所時栄養連携加算(400単位/回)
・入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅰ:450単位/回、Ⅱ:480単位/回)
・退所時等支援等加算(試行的退所時指導加算:400単位、退所時情報提供加算:500単位、退所前連携加算:500単位、訪問看護指示加算:300単位/回)
・低栄養リスク改善加算(300単位/月)
・経口移行加算(28単位/日)
・口腔衛生管理体制加算(30単位/月)
・口腔衛生管理加算(90単位/月)
・かかりつけ医連携薬剤調整加算(125単位/回)
・所定疾患施設療養費(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅰ:235単位/日、Ⅱ:475単位/日)
・地域連携診療計画情報提供加算(300単位/回)
・褥瘡マネジメント加算(10単位/月)
・排せつ支援加算(100単位/月)
と16もの加算が取得出来ません。
『強化型』老健で全ての加算を一回で取得したとすると、およそ5,000単位近く取得できることとなります。
これはかなりの痛手で加算が取得出来なければ、下手すると施設の存続が厳しくなる可能性があります。
4.老健の基本方針
平成29年の地域包括ケア強化法によって改正された、介護老人保健施設の定義では、
- 心身機能の維持回復
- 在宅支援
が謳われています。
それだけ国は地域包括ケアシステムの確立するため、老健の役割を『在宅支援』とはっきり、明確に記しています。
この在宅支援が出来ない老健は、今後淘汰されていくような加算に平成30年度の介護報酬改定からなっているような気がします。
5.最後に
平成30年度の介護報酬改定で、老健での在宅支援が今まで以上に明確になりました。
その煽りを受けたのが介護施設サービス費(Ⅳ)であり、算定点数と取得可能な加算の減少が『在宅支援強化の推進』を表しています。
今後の介護報酬改定もこのような動きになりそうなので注意が必要です。