いつもお世話になってます!Pスケ(@kaigonarehabilid)です。
介護保険には様々な加算が存在し、在宅支援に必要な加算が幾つかあります。
その中の一つに『入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)』があり、施設サービス費の区分や在宅復帰・在宅療養支援加算にも関係してくる加算です。
ってことで、今回は『【令和3年度】入所前後に状態把握! 入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)の算定要件とQ&A』について話したいと思います。
目次
▼目次▼
1.入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)とは?
入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)がありますが、実際どのような加算なのでしょうか?
入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)は
- 施設に1月以上入所見込みのある方の居宅を訪問して、退所を目的とした施設サービス計画の策定と診療方針を決定した場合に算定
できる加算です。
訪問場所は、退所後生活する居宅となっており、訪問期間として、
入所予定日30日以内
か
入所後7日以内
となっています。
2.入所前後訪問指導加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い
平成27年度の介護報酬改定より、入所前後訪問指導加算は(Ⅰ)と(Ⅱ)に分けられるようになりました。
この入所前後訪問指導加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いと言うと。
入所前後訪問指導加算(Ⅰ)は、退所先が居宅のみに対し、
入所前後訪問指導加算(Ⅱ)は、退所先が居宅と社会福祉施設等も含まれるています。
また入所前後訪問指導加算(Ⅱ)は多職種共同で会議を行い、施設サービス計画の
- 『生活機能の具体的な改善目標』
- 『退所後の生活に係る支援計画』
を定めた場合に算定可能となってます。
3.取得可能施設
入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)は以下の施設にて取得可能です。
- 介護保健施設サービス
ただし『介護保健施設サービス費(Ⅳ)』を算定している場合は、取得できません。
4.取得単位数
入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)の単位数は以下のようになっています。
単位数 | |
入所前後訪問指導加算(Ⅰ) | 450単位 |
入所前後訪問指導加算(Ⅱ) | 480単位 |
この加算は入所中に1回を限度に算定可能です。
5.算定要件
入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)の算定要件は
『1.入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)とは?』
『2.入所前後訪問指導加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い』
で述べた要件以外にも、以下の算定要件を満たす必要があります。
5.1.入所日又は訪問日に算定
入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)で、加算を算定する日付について、
入所前に居宅や退所先の社会福祉施設等(以下、居宅等)に訪問した場合は入所日
入所後7日以内に居宅等に訪問した場合は訪問日
に、それぞれ算定を行うようにします。
[quads id=2]5.2.入所前後訪問指導
入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)では、居宅等に訪問して指導を行わなければなりません。
その際に、入所者と家族等の両方に必ず指導を行う必要があります。
また以下の職種で協力して行うようにします。
- 医師
- 看護職員
- 支援相談員
- 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士
- 管理栄養士
- 介護支援専門員等
令和3年度の介護報酬改定では『栄養士』の記載は『管理栄養士』に変更となっています。
- 指導日
- 指導内容の要点
を診療録等に記載するようにしましょう。
5.3.入所前後訪問指導加算(Ⅱ)の会議
入所前後訪問指導加算(Ⅱ)は算定要件が少し違い、施設サービス計画の策定等には多職種にて会議を開く必要があります。
ここで言う多職種とは
- 医師
- 看護職員
- 支援相談員
- 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士
- 管理栄養士
- 介護支援専門員等
を言います。
話し合う内容は以下のようになり、それぞれが加算を算定する入所者や家族などの意向を踏まえる必要があります。
①生活機能の具体的な改善目標
退所後の生活環境に合わせた入浴や排せつなどの生活機能についての改善目標を定める必要があります。
②退所後の生活に関する支援計画
入所者が施設へ入所しても、施設と在宅の双方で切れ目のない支援計画を作成しなければなりません。
具体例として、
- 反復的な入所
- 併設サービスの利用
- インフォーマルサービスの活用等
を広く含んだ物を作成します。
また入所者や家族等が希望する場合は、終末期の過ごし方や看取りについても話し合いを持つように努め、具体的な内容を支援計画に含めます。
なお、令和3年度の介護報酬改定により会議は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるようになりました。
その際は、
個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」
厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守することが求められています。
6.算定不可要件
入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)では以下の場合算定が出来ません。
- 病院や診療所のみの訪問
- 他の介護保険施設のみの訪問
- 予定の変更で、入所しなかった
7.Q&A
Q.退所(院)前訪問指導加算(退所前相談援助加算)において、入所者が退所後に他の社会福祉施設等に入所した場合の「他の社会福祉施設等」は、具体的には何を指すのか。A.他の社会福祉施設等とは、病院、診療所、及び介護保険施設を含まず、有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、認知症高齢者グループホームを指す。
なお、退所(院)後訪問指導加算(退所後訪問相談援助加算)、退所(院)時情報提供加算、入所前後訪問指導加算においても同様の取扱いである。
※ 平成15年Q&A(vol.1)(平成15年5月30日)施設サービス(共通事項)のQ3は削除する。引用:24.3.16 事務連絡 介護保険最新情報vol.267 平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(平成24 年3 月16 日)
Q.入所前後訪問指導加算について、居宅を訪問するのは「医師、看護職員、支援相談員、理学療法士又は作業療法士、栄養士、介護支援専門員」のいずれかでないと算定できないのか。A.職種は問わないが、入所者の施設サービス計画を作成する者が訪問することが望ましい。
なお、退所(院)前訪問指導(相談援助)加算、退所(院)後訪問指導(相談援助)加算についても同様の取扱いである。引用:24.3.16 事務連絡 介護保険最新情報vol.267 平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(平成24 年3 月16 日)
Q.退所後訪問指導を行った者が、当該訪問の日から1月の間に再入所した場合は、入所前後訪問指導加算を算定できるか。A.同一日の訪問について、退所後訪問指導加算と入所前後訪問指導加算の両方を算定することはできない。
また、再入所にあたって再度訪問した場合であっても、退所後訪問指導加算を算定した日から1月間は入所前後訪問指導加算を算定できない。なお退所前訪問指導加算を算定した日から1月間についても同様の取扱いである。
引用:24.3.30 事務連絡 介護保険最新情報vol.273 平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)(平成24 年3 月30 日)
8.参考
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(令和3年度)
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成27年度)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成27年度)
9.最後に
入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)は入所者と一緒に居宅での動作確認を行い、それを施設サービス計画書に反映させる加算です。
介護保険施設サービスは在宅復帰施設としての役割を十分に理解し、このような在宅支援に関する加算を取得していくことが望ましいと考えます。