いつもお世話になっています!Pスケ(@kaigonarehabilid)です。
平成30年度の介護報酬改定では、新規加算の創設や算定要件の変更等がありました。
その中に『試行的退所時指導加算』があります。
ってことで、今回は『お試しで在宅生活を実感! 試行的退所時指導加算の算定要件』について話したいと思います。
目次
▼目次▼
- 1.試行的退所時指導加算とは?
- 2.試行的退所時指導加算と外泊したときの費用(在宅サービスを利用する場合)の違い
- 3.取得可能な施設
- 4.単位数
- 5.算定要件
- 5.1.退所後の療養上の指導とは?
- 5.2.居宅生活継続の検討とアプローチ
- 5.3.趣旨の説明と同意
- 5.4.ベッドの短期入所療養介護利用
- 5.5.居宅サービス等の利用不可
- 5.6.居宅に帰れなかった場合
- 5.7.算定できない要件
- 5.8.診療録等の記載
- 5.9.外泊時費用との同時算定可能
- 6.参考
- 7.最後に
1.試行的退所時指導加算とは?
介護老人保健施設(以下、老健)には退所時の支援に関わる加算があり、その項目は以下の4つ存在します。
- 試行的退所時指導加算
- 退所時情報提供加算
- 退所前連携加算
- 外泊時費用
その中でも試行的退所時指導加算は、1カ月以上入所され、退所見込みのある入所者にお試しで退所してもらう加算です。
2.試行的退所時指導加算と外泊したときの費用(在宅サービスを利用する場合)の違い
試行的退所時指導加算と似たような加算で、外泊したときの費用(在宅サービスを利用する場合)があります。
外泊したときの費用(在宅サービスを利用する場合)の説明には以下のような文言があります。
2.注10.入所者であって、退所が見込まれる者をその居宅において試行的に退所させ、介護老人保健施設が居宅サービスを提供する場合は、1月に6日を限度として所定単位数に代えて1日につき800単位を算定する。ただし、試行的な退所に係る初日及び最終日は算定せず、注9に掲げる単位数を算定する場合は算定しない。
このように退所見込みがある入所者を試行的に退所させるのは変わりませんが、一つだけ違うのが
介護老人保健施設が提供する居宅サービスを利用
が出来る事です。
このことを踏まえて、どちらの加算が入所者や家族にとって在宅への具体的なイメージが湧くのか検討し、実行する必要があります。
3.取得可能な施設
試行的退所時指導加算は以下の施設で算定が可能となっています。
- 介護老人保健施設
4.単位数
試行的退所時指導加算の単位数は以下のようになっています。
単位数 | |
試行的退所時指導加算 | 400単位 |
試行的退所時指導加算は最初に試行的退所を行った最初の月から3月間、月1回を限度に取得できます。
5.算定要件
試行的退所時指導加算の算定要件は以下の要件が揃えば算定可能です。
- 入所期間が1月以上で、退所見込みがある入所者
- 入所者と家族等のいずれにも退所後の療養上の指導を行う
5.1.退所後の療養上の指導とは?
試行的退所時指導加算の算定要件に、『療養上の指導』とあります。
この指導の具体的内容は
- 食事、入浴、健康管理などの在宅療養に関する内容
- 運動機能、日常生活動作能力の維持及び
向上を目的として行う体位変換、起座、離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練 - 家屋改善
- 介助方法
などになります。
5.2.居宅生活継続の検討とアプローチ
試行的退所時指導加算を行うにあたっては、病状や身体状況を踏まえ在宅で生活できるか、多職種で話し合う必要があります。
ここで言う多職種とは
- 医師
- 薬剤師(配置されている場合)
- 看護職員
- 介護職員
- 支援相談員
- 介護支援専門員等
になります。
また試行的退所時指導は以下の職種が協力してアプローチする必要があります。
- 医師
- 看護職員
- 支援相談員
- 理学療法士又は作業療法士
- 栄養士
- 介護支援専門員等
5.3.趣旨の説明と同意
試行的退所時指導加算を取得する際は、入所者とご家族に趣旨の説明と同意を十分に行うことが必要です。
5.4.ベッドの短期入所療養介護利用
入所者が試行的退所時指導加算で在宅利用中の時。
その入所者が老健で利用していたベッドを短期入所療養介護に利用する事が可能です。
ただし、入所者の同意と外泊時費用を算定していないのが条件になってます。
5.5.居宅サービス等の利用不可
試行的退所時指導加算を取得している場合。
以下の『居宅サービス』『地域密着型サービス』『介護予防サービス』等は同時利用できません。
具体的な支援サービスは以下のサイトに記載されています。
居宅サービスは介護保険法第 8 条第1項
地域密着型サービスは介護保険法第 8 条第 14 項
介護予防サービスは介護保険法第 8 条2第 14 項
5.6.居宅に帰れなかった場合
試行的退所時指導加算のお試しで退所した後、居宅に帰れなかった場合。
居宅へ退所出来なかった理由の分析と、問題解決のリハビリなどの適切なアプローチを行い、施設サービス計画の変更を行います。
5.7.算定できない要件
試行的退所時指導加算を算定出来ない要件があります。
- 退所後、病院や診療所へ入院する場合
- 退所後、他の介護保険施設へ入院や入所する場合
- 死亡退所の場合
5.8.診療録等の記載
試行的退所時指導を行った際は、
- 指導日
- 指導内容の要点
を診療録などに記載する必要があります。
5.9.外泊時費用と同時算定可能
試行的退所時指導加算を算定する時。
外泊時費用を同時算定する事ができます。
6.参考
試行的退所時指導加算の詳細は以下のサイトに記載されています。
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成27年度)
7.最後に
試行的退所時指導加算は在宅支援という老健施設の役割を果たす大切な加算です。
試行的退所時指導加算を上手く活用して、在宅復帰を目指していきましょう。