いつもお世話になってます!Pスケ(@kaigonarehabilid)です。
平成30年度の介護報酬改定では様々な加算の創設や算定要件の変更などがありました。
その中の一つである、『療養食加算』も要件の変更があります。
ってことで、今回は『1食ずつに加算!療養食加算の算定要件とQ&A』について話したいと思います。
目次
▼目次▼
- 1.背景
- 2.療養食加算とは?
- 3.対象施設
- 4.単位数
- 5.算定要件
- 5.1.主治医が発行した食事箋
- 5.2.療養食の具体的種類
- 5.2.1.減塩食療法等
- 5.2.2.肝臓病食
- 5.2.3.胃潰瘍食
- 5.2.4.貧血食
- 5.2.5.高度肥満症に対する食事療法
- 5.2.6.検査食(特別な場合)
- 5.2.7.脂質異常症食
- 6.Q&A
- 7.参考
- 8.最後に
1.背景
療養食加算は以前より制定されている加算ですが取得率は低く、全体で12.4%程度しか算定していない現状があります。
【参考2】療養食加算の取得率 ※療養食加算の算定回数÷施設サービス費算定回数 として算出
・介護老人福祉施設: 9.9%
・介護老人保健施設: 26.8%
・介護療養型医療施設: 24.6%
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護:8.4%
・短期入所生活介護: 1.5%
・介護予防短期入所生活介護: 0.6%
・短期入所療養介護: 16.5%
・介護予防短期入所療養介護:11.3%
(出典)介護給付費等実態調査(平成29年4月審査分)
このように算定率の低さから、1日単位での算定を1食単位で評価を行うことで療養食加算を算定しやすいようになりました。
2.療養食加算とは?
療養食加算とはそもそも何なんでしょうか?
施設には様々な疾患をお持ちの入所者がおり、食事の栄養分や量に制限がある方がいらっしゃいます。
療養食加算とは、これらの入所者に対して管理栄養士などが、管理した適切な療養食を提供した場合に加算として算定されるものを指します。
3.対象施設
療養食加算は以下の施設で算定が可能となっています。
・介護老人福祉施設
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設
・介護医療院
・短期入所生活介護
・介護予防短期入所生活介護
・短期入所療養介護
・介護予防短期入所療養介護
4.単位数
療養食加算の単位数は施設形態によって違い、以下のようになっています。
単位数 | |
| 6単位/回 |
| 8単位/回 |
療養食加算は1日3食まで算定可能となっていて、1食を1回とみなします。
またおやつは療養食加算としてカウントされません。
経口からの食事摂取の栄養管理や支援を行う経口移行加算や経口維持加算の併用算定は可能です。
5.算定要件
療養食加算は以下の算定要件を満たす必要があります。
イ 食事の提供が管理栄養士又は栄養士によって管理されていること。
ロ 利用者の年齢、心身の状況によって適切な栄養量及び内容の食事の提供が行われていること。
ハ 食事の提供が、別に厚生労働大臣が定める基準に適合する指定短期入所療養介護事業所において行われていること。
また以下の留意点に注意して療養食加算を取得していかなければなりません。
5.1.主治医が発行した食事箋
療養食加算は疾患の直接的な治療手段として療養食が必要と判断された時に取得できる加算です。
この療養食加算を取得する為には、主治医より『食事箋』というものが必要となってきます。
食事箋は施設独自で作られている事が多いみたいです。
障害者支援施設のですが食事箋が以下のサイトに資料として添付されているので、参考に作成してもいいかもしれません。
また加算を取得する場合は『献立表』が作成されているのも必須ですので忘れずに!
5.2.療養食の具体的種類
療養食加算の対象となる療養食は年齢や病状等に対応した栄養量や内容になっている治療食を指します。
具体的な種類を挙げると、
・糖尿病食
・腎臓病食
・肝臓病食
・胃潰瘍食(流動食は除く)
・貧血食
・膵臓病食
・脂質異常症食
・痛風食
・特別な場合の検査食
摂取方法は経管・経口どちらでも療養食加算の算定可能です。
それぞれの療養食にも細かな要件が設定されているので、次の項目から説明をしたいと思います。
5.2.1.減塩食療法等
療養食加算で行う療養食で減塩食療法行う場合があります。
減塩食療法は主に心疾患の入所者に提供される食事で、腎臓病食に準じて取り扱えます。
この時の塩分の総量が6.0g未満の減塩食でなければなりません。
高血圧症に対しての減塩食療法は加算対象外になるので、注意してて下さい。
5.2.2.肝臓病食
肝臓病食とは肝臓に疾患を煩っている入所者向けの食事内容です。
肝臓病食は以下の食事を含みます。
- 肝庇護食
- 肝炎食
- 肝硬変食
- 閉鎖性黄疸食(胆石症及び胆嚢炎による閉鎖性黄疸を含む)
5.2.3.胃潰瘍食
療養食加算で提供可能な胃潰瘍食は以下のようになってます。
- 12指腸潰瘍
- 侵襲が大きい消化管手術後の胃潰瘍食に準ずる食事提供
- クローン病、潰瘍性大腸炎等による腸管機能低下に対する低残さ食
胃潰瘍食として取り扱うことの出来ない療養食もあります。
- 手術後の高カロリー食
5.2.4.貧血食
療養食加算対象の貧血食には以下の要件が必要となります。
- 血中ヘモグロビン濃度10g/dl以下
- 鉄分の欠乏が原因
5.2.5.高度肥満症に対する食事療法
高度肥満症の入所者に対しての食事療法も療養食加算の対象です。
高度肥満症とは以下のような利用者を言います。
- 肥満度が+70%以上
- BMI(BodyMassIndex)が35以上
となっています。
肥満度とBMIの求める計算式は、
- 肥満度% =(実測体重 – 標準体重)÷ 標準体重× 100
- BMI= 体重kg /(身長m)2
※標準体重 = 22(BMIの標準指数) × (身長m)2
となってます。
高度肥満症の食事療法としては脂質異常症食に準じて取り扱うようにします。
5.2.6.検査食(特別な場合)
療養食加算で検査食を提供する場合は以下の状態が対象になります。
- 潜血食
- 大腸X線検査・大腸内視鏡検査など
上記の状態で、特に残さの少ない調理済み食品を使用した時に特別な検査食と扱われます。
5.2.7.脂質異常症食
療養食加算を提供する脂質異常症の対象の入所者は、空腹時定常状態で以下のいずれかの用件を満たさなければいけません。
- LDL―コレステロール値:140㎎/dl以上
- HDL―コレステロール値:40㎎/dl未満
- 血清中性脂肪値が150㎎/dl以上
6.Q&A
問 82 10時や15時に提供されたおやつは1食含まるか。(答)おやつは算定対象に含まれない。
問 83 濃厚流動食のみの提供の場合は、3食として理解してよいか。(答)1日給与量の指示があれば、2回で提供しても3回としてよい。
7.参考
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成30年度)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成27年度)
8.最後に
療養食加算は疾患がある入所者に治療という形で行うには有効な手段です。
算定要件を満たして生活の質を保てるように心がけていきましょう。