【令和3年度】LIFE提出とPDCAでケア向上!口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)の算定要件とQ&A

口腔機能向上加算 算定要件 Q&A

いつもお世話になっています!Pスケ(@kaigonarehabilid)です。

主に通所系で取得可能な加算である『口腔機能向上加算

この口腔機能向上加算に、令和3年度から科学的介護を推奨するため、『口腔機能向上加算(Ⅰ)』と『口腔機能向上加算(Ⅱ)』が創設されました。

って、ことで今回は『【令和3年度】LIFE提出とPDCAでケア向上!口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)の算定要件とQ&A』について話したいと思います。

1.口腔機能向上加算とは?

そもそも今回取り上げた『口腔機能向上加算』とは、一体どういう加算なのでしょうか?

口腔機能向上加算とは口腔機能の低下その恐れがある利用者が対象となります。

これらの利用者に対して個別に口腔機能の向上を目的

  • 口腔清掃
  • 摂食嚥下機能に関する訓練

 

を指導・実施することで利用者の心身の維持・向上を目指すものとなっています。

 

2.取得可能サービス

口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)の算定できるサービス事業所は以下のようになっています。

  • 通所介護
  • 通所リハビリテーション
  • 地域密着型通所介護
  • 認知症対応型通所介護
  • 複合型サービス

※予防も含む

 

3.取得単位数

口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)で取得できる単位数は以下のようになっています。

  
口腔機能向上加算(Ⅰ)150単位/回
口腔機能向上加算(Ⅱ)160単位/回
 

因みに3月以内に限り、2回/月を限度に算定できます。

ただし3月ごとの利用者の口腔機能評価の結果で、

口腔機能の向上が見られない場合は算定できません。

ただし継続が必要と判断されるときは続けて算定可能です。

4.算定要件&留意事項

口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)では以下のような算定要件と留意事項となっています。

4.1.ケアマネジメントの一環

口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)で口腔機能向上サービスの提供を行う場合。

利用者ごとに行われるケアマネジメントの一環として行われることとなっています。

4.2.人員配置

口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱを取得するには以下の専門職を1名以上配置しておかなければなりません。

  • 言語聴覚士
  • 歯科衛生士
  • 看護職員

4.3.算定できる利用者

口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)を算定するにあたり、算定できる対象の利用者は以下の4.3.1.~4.3.3の3つのうちどれかに該当する利用者で、口腔機能向上サービスの提供が必要と認められる者となっています。

4.3.1.認定調査票で3項目中『1』以上に該当する者

介護認定審査で行われる認定調査票の中には以下のような項目が3つあります。

  • 嚥下

口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ) 認定調査票

  • 食事摂取

口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ) 食事摂取

  • 口腔清潔

口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ) 口腔

この介護認定調査の設問のどれかで『1』以外の項目にチェックがついた場合に算定可能となります。

4.3.2.基本チェックリストの2項目以上が『1』

口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)では『基本チェックリスト』が対象者を挙げる一つのツールとなっています。

基本チェックリストは65歳以上の高齢者の心身機能の低下がないかをチェックするツールとなっています。

この基本チェックリストの中に口腔機能に関する項目が3項目あり、そのうち2項目以上が『1』に該当した場合に対象者となります。

項目の内容として

口腔機能向上加算 基本チェックリスト

 

となっています。

4.3.3.その他口腔機能の低下、その恐れがある者

口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)では上記2つの判断とは別に、口腔機能の低下や恐れがある利用者が対象となっています。

この選定基準としては21.3.23 介護保険最新情報vol.69平成21年4月改定関係Q&A(vol.1)にあるように、

  • (介護予防)ケアマネジメントの課題分析
  • 主治医意見書の摂食・嚥下機能に関する記載内容や特記事項
  • 視認により口腔内の衛生状態に問題があると判断される
  • 医師・歯科医師・介護支援専門員・サービス提供事業所等からの情報提供

口腔機能の低下やその恐れがると判断される利用者は算定できるとされています。

これらの口腔機能の低下や恐れがある利用者の判断の参考として「口腔機能向上マニュアル」確定版(平成21年3月)がありますので、目を通してもいいかもしれません。

 

4.4.同時算定できない

口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)では、利用者の口腔状態によって医療対応が適切の場合があります。

なので介護支援専門員を通して、主治医や主治の歯科医師への情報提供・受診勧奨などを講じることとされています。

また以下のいずれかの場合は口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)を算定できません。

  • 歯科診療報酬点数表に掲げる摂食機能療法を算定している
  • 歯科診療報酬点数表に掲げる摂食機能療法を算定せず、介護保健の口腔機能向上サービスの『摂食・嚥下機能に関する訓練の指導若しくは実施』を行っていない

4.5.口腔機能向上サービスの手順

口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)を算定するにあたり、以下の手順で提供を行っていきます。

 

 

1.利用開始時に利用者ごとの口腔機能を把握

2.利用開始時に口腔機能改善管理指導計画を言語聴覚士、歯科衛生士、看護職員、介護職員、生活相談員、その他の職種で共同して取り込むべき事項等を記載する

3.作成した口腔機能改善管理指導計画は利用者又は家族に説明・同意を得る。

(※認知症対応型通所介護では口腔機能改善管理指導計画に相当する内容を認知症対応型通所介護計画の中に記載することでもOK)

4.口腔機能改善管理指導計画に基づいて、言語聴覚士等が利用者ごとに口腔機能向上サービスを提供。(問題点があれば計画を修正する)

5.概ね3カ月ごとに口腔機能の評価や状態等を担当居宅介護支援員や主治医、主治歯科医師に情報提供を行う。

6.口腔機能改善管理計画に従い定期的に記録している場合は、口腔機能向上加算算定のための記録は必要はない

 

4.6.口腔機能サービスの継続要件

口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)では概ね3月ごとの評価結果で、以下の2つのうちいずれかが該当し、口腔機能向上または維持の効果が認められた場合は継続して提供が可能です。

  • 口腔清潔・唾液分泌・咀嚼・嚥下・食事摂取等の口腔機能の低下が認められる利用者
  • サービス継続しないことで、口腔機能低下をする恐れがある利用者

4.7.LIFE提出に関して(口腔機能向上加算(Ⅱ))

口腔機能向上加算(Ⅱ)を算定には口腔機能改善管理指導計画等の情報を厚労省に提出する必要があります。

厚労省に提出しPDCAサイクルによって、サービスの質を管理し、厚労省への情報提出はLIFEを用いて行っていきます。

この『LIFE(科学的介護情報システム』への提出情報、提出頻度等は以下のように行います。

4.7.1.情報提出頻度

LIFEへの情報提出の頻度は利用者ごとに以下のア~ウの定める月の翌月10日までに提出しなければなりません。

ア .新規に個別機能訓練計画の作成を行った日の属する月
イ .個別機能訓練計画の変更を行った日の属する月
ウ .ア又はイのほか、少なくとも3月に1回

4.7.2.提出情報

LIFEへ提出する情報に関しては

リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」にある別紙様式8(口腔機能向上サービスに関する計画書)に記載されている部分を提出する必要があります。

 

具体的な内容として

 

 
  • かかりつけ歯科医
  • 入れ歯の使用
  • 食形態等
  • 誤嚥性肺炎の発症・罹患
  • スクリーニング、アセスメント、モニタリング
  • 口腔機能改善管理計画
  • 実施記録

の情報をすべて提出します。

 

因みに提出情報の時点は

  • 情報の作成または変更時
  • 前回提出時以降の情報

となっています。

 

5.Q&A

問 33 それぞれ別の通所介護・通所リハビリテーション事業所にしている場合、それぞれの事業所で同時に栄養改善加算又は口腔機能向上加算を算定することはできるのか。

(答)御指摘の件については、ケアマネジメントの過程で適切に判断されるものと認識しているが、①算定要件として、それぞれの加算に係る実施内容等を勘案の上、1事業所における請求回数に限度を設けていること、②2事業所において算定した場合の利用者負担等も勘案すべきことから、それぞれの事業所で栄養改善加算又は口腔機能向上加算を算定することは基本的には想定されない。

※ 平成 18 年4月改定関係Q&A(Vol.4)(平成 18 年5月2日)問1の修正。

令和3年度介護報酬改定Q&A(Vol.3)

問4 LIFEに提出すべき情報は「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和3年3月 16 日老老発 0316 第4号)の各加算の様式例において示されているが、利用者又は入所者の評価等に当たっては、当該様式例を必ず用いる必要があるのか。

答)「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和3年3月 16 日老老発 0316 第4号)においてお示しをしているとおり、評価等が算定要件において求められるものについては、それぞれの加算で求められる項目(様式で定められた項目)についての評価等が必要である。
・ ただし、同通知はあくまでもLIFEへの提出項目をお示ししたものであり、利用者又は入所者の評価等において各加算における様式と同一のものを用いることを求めるものではない。

令和3年度介護報酬改定Q&A(Vol.5)

 

問131 栄養改善加算及び口腔機能向上加算は、サービスの提供開始から3月後に改善評価を行った後は算定できないのか。

(答)サービス開始から概ね3月後の評価において、解決すべき課題が解決されていない場合であって、当該サービスを継続する必要性が認められる場合は、3月以降も算定できる。
なお、サービスを継続する場合であっても、アセスメント、計画作成、評価の手順に従って実施する必要があるが、課題解決に向けて効果が得られるよう、実施方法及び実施内容を見直す必要がある。

24.3.16事務連絡 介護保険最新情報vol.267「平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(平成24 年3 月16 日)」の送付について

問25.介護予防通所介護における運動器機能向上加算の人員配置は、人員基準に定める看護職員以外に利用時間を通じて1名以上の配置が必要か。また、1名の看護職員で、運動器機能向上加算、口腔機能向上加算の両方の加算を算定
してもかまわないか。

(答)運動器機能向上加算を算定するための前提となる人員配置は、PT、OT、ST、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師のいずれかである。看護職員については、提供時間帯を通じて専従することまでは求めていないことから、本来の業務である健康管理や必要に応じて行う利用者の観察、静養といったサービス提供にとって支障がない範囲内で、運動器機能向上サービス、口腔機能向上サービスの提供を行うことができる。
ただし、都道府県等においては、看護職員1名で、基本サービスのほか、それぞれの加算の要件を満たすような業務をなし得るのかどうかについて、業務の実態を十分に確認することが必要である。

18.3.22 介護制度改革information vol.78 平成18年4月改定関係Q&A(vol.1)

問3.問36 言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員の行う業務について、委託した場合についても加算を算定することは可能か。また、労働者派遣法に基づく派遣された職員ではどうか。

(答)口腔機能向上サービスを適切に実施する観点から、介護予防通所介護・通所リハビリテーション事業者に雇用された言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員(労働者派遣法に基づく紹介予定派遣により派遣されたこれらの職種の者を含む。)が行うものであり、御指摘のこれらの職種の者の業務を委託することは認められない。(なお、居宅サービスの通所介護・通所リハビリテーションにおける口腔機能向上加算についても同様の取扱いである。)

18.3.22介護制度改革information vol.78 平成18年4月改定関係Q&A(vol.1)

問1.それぞれ別の通所介護・通所リハビリテーション事業所にしている場合、それぞれの事業所で同時に栄養マネジメント加算又は口腔機能向上加算を算定することはできるのか。

(答)御指摘の件については、ケアマネジメントの過程で適切に判断されるものと認識しているが、①算定要件として、それぞれの加算に係る実施内容等を勘案の上、1事業所における請求回数に限度を設けていること、②2事業所において算定した場合の利用者負担等も勘案すべきことから、それぞれの事業所で栄養マネジメント加算又は口腔機能向上加算を算定することは基本的には想定されない。

18.5.2 介護制度改革information vol.102 平成18年4月改定関係Q&A(VOL4)

問14.口腔機能向上加算を算定できる利用者として、「ハ その他口腔機能の低下している者又はそのおそれのある者」が挙げられているが、具体例としてはどのような者が対象となるか。

(答)例えば、認定調査票のいずれの口腔関連項目も「1」に該当する者、基本チェックリストの口腔関連項目の1項目のみが「1」に該当する又はいずれの口腔関連項目も「0」に該当する者であっても、介護予防ケアマネジメント又はケアマネジメントにおける課題分析に当たって、認定調査票の特記事項における記載内容(不足の判断根拠、介助方法の選択理由等)から、口腔機能の低下している又はそのおそれがあると判断される者については算定できる利用者として差し支えない。同様に、主治医意見書の摂食・嚥下機能に関する記載内容や特記すべき事項における記載内容(不足の判断根拠、介助方法の選択理由等)から、口腔機能の低下している又はそのおそれがあると判断される者については算定できる利用者として差し支えない。同様に、主治医意見書の摂食・嚥下機能に関する記載内容や特記すべき事項の記載内容等から口腔機能の低下している又はそのおそれがあると判断される者、視認により口腔内の衛生状態に問題があると判断される者、医師、歯科医師、介護支援専門員、サービス提供事業所等からの情報提供により口腔機能の低下している又はそのおそれがあると判断される者等についても算定して差し支えない。なお、口腔機能の課題分析に有用な参考資料(口腔機能チェックシート等)は、「口腔機能向上マニュアル」確定版(平成21年3月)に収載されているので対象者を把握する際の判断の参考にされたい。

21.3.23 介護保険最新情報vol.69 平成21年4月改定関係Q&A(vol.1)

問15.口腔機能向上サービスの開始又は継続にあたって必要な同意には、利用者又はその家族の自署又は押印は必ずしも必要ではないと考えるが如何。

(答)口腔機能向上サービスの開始又は継続の際に利用者又はその家族の同意を口頭で確認し、口腔機能改善管理指導計画又は再把握に係る記録等に利用者又はその家族が同意した旨を記載すればよく、利用者又はその家族の自署又は押印は必須ではない。

21.3.23 介護保険最新情報vol.69 平成21年4月改定関係Q&A(vol.1)

問1.口腔機能向上加算について、歯科医療との重複の有無については、歯科医療機関又は事業所のいずれにおいて判断するのか。

(答)歯科医療を受診している場合の口腔機能向上加算の取扱いについて、患者又はその家族に説明した上、歯科医療機関が患者又は家族等に提供する管理計画書(歯科疾患管理料を算定した場合)等に基づき、歯科医療を受診した月に係る介護報酬の請求時に、事業所において判断する。

21.4.17介護保険最新情報vol.79平成21年4月改定関係Q&A(vol.2

問4.本来業務を行う看護師は、機能訓練指導員を兼務できることとなっているが、口腔機能向上加算の算定要件としての看護師も兼務することは可能か。

(答)それぞれ計画上に位置付けられているサービスが、適切に行われるために必要な業務量が確保できているのであれば、兼務は可能であり、口腔機能向上加算を算定することは可能である。

18.2.24全国介護保険担当課長ブロック会議資料 Q&A

6.参考

7.最後に

口腔機能を維持することは肺炎などの疾患を予防するだけではなく、『最期まで美味しくご飯が食べれる』という人としての楽しみを維持することにもなります。

口腔機能向上加算を上手く活用し、利用者に質の良いケアを提供できるように心がけていきたいものです。

関連コンテンツ