病院や通所・訪問リハとの連携! 特養での生活機能向上連携加算Ⅱの算定要件とQ&A

生活機能向上連携加算 特養 退院時共同指導加算

いつもお世話になってます!Pスケ(@kaigonarehabilid)です。

3年ごとに介護報酬改定があり、改定年によっては、医療報酬、障害の3つのトリプル改定の年があります。

そんなトリプル改定の年、平成30年度の介護報酬改定で新設された『生活機能向上連携加算』。

この生活機能向上連携加算は令和3年度の改定時に『生活機能向上連携加算Ⅰ』と『生活機能向上連携加算Ⅱ』の二つに分かれました。

ということで今回は『病院や通所・訪問リハとの連携! 特養での生活機能向上連携加算Ⅱの算定要件とQ&A』ってことを話したいと思います。

1.生活機能向上連携加算とは?

平成30年度の介護報酬改定で、特養(介護老人福祉施設)等の機能訓練指導員に関する加算で新設された加算があります。

それが、『生活機能向上連携加算』。

この生活機能向上連携加算。

どんな加算なのかというと、『他病院や施設と連携して、より専門的にアプローチしてください』という加算になっています。

また令和3年度の介護報酬改定では更に細分化され、生活機能向上連携加算Ⅰ生活機能向上連携加算Ⅱが創設されました。

2.生活機能向上連携加算Ⅰと生活機能向上連携加算Ⅱの違い

生活機能向上連携加算Ⅰと生活機能向上連携加算Ⅱ。

何が違うかというと、ざっくり言えばICTを活用して連携を図っているかどうかの違いで算定できる加算が変わってきます。

生活機能向上連携加算Ⅰ ⇒ ICTを活用して助言をもらいながら作成

生活機能向上連携加算Ⅱ ⇒ 従来と同じ

というような違いがあります。

今回は、この生活機能向上連携加算Ⅱについて、ここでは述べていきたいと思います。

生活機能向上連携加算Ⅰについては、以下のページで説明しています。

3.生活機能向上連携加算の単位数

生活機能向上連携加算Ⅰ生活機能向上連携加算Ⅱでは、単位数と算定要件が異なります。

 単位数
生活機能向上連携加算Ⅰ100単位/月(ただし、3月に1回を限度)
生活機能向上連携加算Ⅱ

200単位/月

※ただし、個別機能訓練加算を算定している場合は、
100単位/月

3.生活機能向上連携加算Ⅱの算定要件

生活機能向上連携加算Ⅱでは生活機能向上連携加算Ⅰと違い、直接、他医療提供施設の理学療法士等と連携を図っていく必要があります。

3.1.リハビリテーションを提供している施設と連携

生活機能向上連携加算Ⅱの算定要件では、生活機能向上連携加算Ⅱと同様に、リハビリ専門職と連携を図る必要があります。

このリハビリ専門職との連携には、以下の施設を指します。

  • 訪問リハビリテーション
  • 通所リハビリテーション
  • リハビリテーションを実施している医療提供施設

では、どんな施設形態を医療提供施設の事を言うのでしょうか?

具体的には以下の条件が当てはまります。

医療提供施設

・診療報酬における疾患別リハビリテーション料の届出を行っている病院若しくは診療所

・介護老人保健施設

・介護療養型医療施設

・介護医療院

また、医療提供施設の条件が決まっており、以下の内容に当てはまる施設と連携を図っていきます。

生活機能向上連携加算Ⅱの医療提供施設要件

許可病床数が 200 床未満のもの又は病院を中心とした半径4キロメートル以内に診療所が存在しないもの

この上記の要件を満たしながら、以下のリハビリスタッフらの助言に基づいて、個別機能訓練計画を作成していきます。

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 医師

 3.2.個別機能訓練計画のどこを検討していくか?

生活機能向上連携加算Ⅱの個別機能訓練計画では、以下の部分の助言をリハビリテーションを実施している事業所の理学療法士等と連携を図っていきます。

・アセスメント

・利用者の身体状況等の評価

・個別機能訓練計画の作成

・日常生活上の留意点

・介護の工夫など

また、理学療法士等と主に一緒に見ていく個別機能訓練計画の中身としては、以下の所となっています。

AD L(寝返り、起き上がり、移乗、歩行、着衣、入浴、排せつ等)

・IADL(調理、掃除、買物、金銭管理、服薬状況等)に関する状況

3.3.3月ごとに1回以上、理学療法士等の訪問が必要

生活機能向上連携加算ⅠはICTの活用で、リモートで連携は可能でした。

しかし、今回説明している生活機能向上連携加算Ⅱでは、直接外部の理学療法士等が算定施設を訪問しなければなりません。

また、機能訓練指導員等と共同して個別機能訓練の進捗状況等の評価をしていきます。

評価後は、施設の機能訓練指導員等が利用者の家族に対して、下記内容を説明、記録し、必要に応じて訓練内容等の見直しをする必要があります。

  • 個別絹訓練計画の内容(評価を含む)
  • 進捗状況など

3.4.個別機能訓練計画の記載事項

生活機能向上連携加算Ⅱでも、連携を図った時に個別機能訓練計画の作成を行っていかなければなりません。

個別機能訓練計画は利用者ごとに作成する必要があり、記載事項として以下の内容が必要とされています。

個別機能訓練計画の記載事項

目標(利用者、ご家族の意向とケアマネの意見も踏まえ意欲向上に繋がるものを作る)

実施時間

実施方法等の内容

なお、この個別機能訓練計画に相当する内容を介護計画の作成に代えることも可能です。

ただし、個別機能訓練加算を算定している場合は、作成しなくても良いとされています。

3.5.機能訓練に関する記録について

生活機能向上連携加算Ⅱを算定するにあたり、機能訓練を行う必要性があり、記録を残す必要があります。

この記録は、以下の内容を守る必要があります。

利用者ごとに保管

・実施時間、訓練内容、担当者等の記載

・常に機能訓練指導員等により閲覧可能

4.共同で作成したという証明も

これは


Pスケ
特養以外の病院や訪問・通所リハビリを持つ専門職と連携を取りましょう

という加算です。

特養の個別機能訓練加算の個別機能訓練計画書と同じ様な形で、外部施設の欄を作成してハンコ等をもらうようにするといいかもしれません。


5.連携した他施設には委託料も

特養での生活機能向上連携加算のQ&Aではないですが、通所介護の生活機能向上連携加算の欄に以下のような文言があります。

生活機能向上連携加算について

問 35 .指定通所介護事業所は、生活機能向上連携加算に係る業務について指定訪問リハビリテーション事業所、指定通所リハビリテーション事業所又は医療提供施設と委託契約を締結し、業務に必要な費用を指定訪問リハビリテーション事業所等に支払うことになると考えてよいか

(答)
貴見のとおりである。なお、委託料についてはそれぞれの合議により適切に設定する必要がある。
引用:平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)

特養のQ&Aではないにしろ、同じ生活機能向上連携加算なので、特養も同じように委託料として連携施設に報酬を渡す事を検討する必要があります。

6.国の方針

生活機能向上連携加算 方針

国としてはこれ以上の重度化を防止し、自立に向けた支援を目指しています。

そのため今までリハビリが無い施設サービスにも、今回の介護報酬改定で機能訓練が実施出来るような仕組みになってきています。

今後の改定でも重度化・自立支援に向けた方針になると思うので、特養とかでも積極的にこのような加算を取得していく必要があります。

7.最後に

利用者の身体機能を低下させないためにも、必要な加算だと思うので、積極的に取得していきましょう。

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