【令和3年度】訪問看護でのサービス提供体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)の算定要件とQ&A

サービス提供体制強化加算 訪問看護 算定要件

いつもお世話になっています!Pスケ(@kaigonarehabilid)です。

介護報酬には様々な加算が存在しており、訪問看護における『サービス提供体制強化加算』もその一つです。

って、ことで今回は『【令和3年度訪問看護でのサービス提供体制強化加算の算定要件とQ&A』について話したいと思います。

1.サービス提供体制強化加算とは

訪問看護におけるサービス提供体制強化加算とは、主に

  • 一定の勤続年数
  • 研修計画に基づく研修の開催
  • 定期的な健康診断
  • 利用者の留意事項の伝達 or 技術指導を目的とした会議

などの条件を満たした際に算定を行うことが可能です。

2.対象施設

今回のサービス提供体制強化加算は訪問看護について話します。

  • 訪問看護

3.単位数

訪問看護におけるサービス提供体制強化加算の単位数は以下のようになっています。

ただし、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)と(Ⅱ)を同時算定出来ず、いずれか一つしか算定できません。

  • 訪問看護ステーション、病院、診療所の場合
     単位数
    サービス提供体制強化加算(Ⅰ)6単位/回
    サービス提供体制強化加算(Ⅱ)3単位/回
  • 定期巡回・随時対応訪問介護看護事業所と連携する場合
 単位数
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)50単位/月
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)25単位/月

4.算定要件

訪問看護におけるサービス提供体制強化加算は(Ⅰ)と(Ⅱ)では算定要件が1か所だけ違っています。

大まかには

訪問看護事業所の看護師等の総数のうち、

勤続年数7年以上の者の占める割合が100分の30以上・・・サービス提供体制強化加算(Ⅰ)

勤続年数3年以上の者の占める割合が100分の30以上・・・サービス提供体制強化加算(Ⅱ)

となっています。

ではそれぞれの算定要件を説明していきます。

4.1.サービス提供体制強化加算(Ⅰ)の算定要件

4.1.1.研修計画作成と研修実施または予定

サービス提供体制強化加算では、訪問看護事業所の全ての看護師等に対して、看護師等ごとに

  • 研修計画の作成
  • 計画に従った研修の実施または実施予定

であることが必要となってきます。

研修計画』については、以下の内容を定めます。

  • 事業所における資質向上のための研修内容の全体像
  • 研修実施のための勤務体制の確保

また従事者についての個別具体的な研修目標、内容、研修期間、実施時期等を定めた計画を策定しなければなりません。

4.1.2.定期的な会議の開催

サービス提供体制強化加算では以下の目的に対して会議を定期的に開催していきます。

  • 利用者に関する情報
  • サービス提供に当たる留意事項の伝達
  • 訪問看護事業所における看護師等の技術指導

因みに、上記の会議は事業所において、サービス提供に当たる訪問看護従業者のすべてが参加するものでなければなりません。

また実施に当たっては全員が一堂に会して開催しなくてもいいとのこと

いくつかのグループ別に分かれて開催しても大丈夫のようです。

ただし、会議の開催状況については、その概要を記録しなければなりません。

この『定期的』とはおおむね1月に1回以上開催される必要があります。

また会議は、テレビ電話等を活用可能です。

テレビ電話等を活用する際は、

を遵守する必要があります。

「利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項」に関しては、少なくとも、次に掲げる事項についてその変化の動向を含め、記載する必要があります。

  • 利用者のADLや意欲
  • 利用者の主な訴えやサービス提供時の特段の要望
  • 家族を含む環境
  • 前回のサービス提供時の状況
  • その他サービス提供に当たって必要な事項

 

4.1.3.定期的な健康診断等の実施

サービス提供体制強化加算では訪問看護事業所の全ての看護師等に対して、定期的な健康診断等を実施しなければなりません。

健康診断等については、労働安全衛生法により定期に実施することが義務付けられた「常時使用する労働者」に該当しない従業者も含めます。

少なくとも1年以内ごとに1回、事業主の費用負担により実施しなければなりません。

新たに加算を算定しようとする場合にあっては、健康診断等が1年以内に実施されることが計画されていることが必要となってきます。

4.1.4.勤続7年以上の看護師等が3割以上

前述した通り、サービス提供体制強化加算では訪問看護事業所の看護師等の総数のうち

勤続年数7年以上の者の占める割合が100分の30以上いる必要があります。

職員の割合の算出方法として、

常勤換算法により算出した前年度(3月を除く)の平均を用いります。

常勤換算法については、以下のページに詳しく書いてありますのでご覧ください。

ただし、新規事業開始や再開した事業所など前年度の実績が6月に満たない場合。

届出日の属する月の前3月について、常勤換算方法により算出した平均を用いることとなっています。

したがって、新規事業開始や再開した事業者については、4月目以降届出が可能となります。

 

届出を行った月以降にも、直近3月間の職員の割合を毎月継続的に所定の割合を維持しなければなりません。

この割合については毎月記録していきます。

所定の割合を下回った場合は、直ちに届出を提出しなければなりません。

4.1.5.勤続年数の数え方

サービス提供体制強化加算での勤続年数は、各月の前月の末日時点における勤続年数をいいます。

また勤続年数の算定に当たって、訪問看護事業所における勤務年数に加えて、

同一法人等の経営する他の介護サービス事業所、病院、社会福祉施設等

でサービスを利用者に直接提供する職員として勤務した年数を含められます。

他にも介護予防訪問看護を一体的に行っている場合も経験年数に含むことが出来ます。

 

4.2.サービス提供体制強化加算(Ⅱ)の算定要件

サービス提供体制強化加算(Ⅱ)は、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)の勤続年数以外はすべて同じです。

サービス提供体制強化加算(Ⅰ)の算定要件(勤続7年以上の要件を除く)

訪問看護事業所の看護師等の総数のうち、勤続年数3年以上が100分の30以上

以上の要件を満たせば、サービス提供体制強化加算(Ⅱ)を算定可能となります。

5.Q&A

問3.特定事業所加算及びサービス提供体制強化加算の要件のうち、計画的な研修の実施に係る要件の留意事項を示されたい。

(答)訪問介護員等(訪問入浴介護従業者等を含む。以下問3及び問4において同じ。)ごとに研修計画を策定されることとしているが、当該計画の期間については定めていないため、当該訪問介護員等の技能や経験に応じた適切な期間を設定する等、柔軟な計画策定をされたい。

また、計画の策定については、全体像に加えて、訪問介護員等ごとに策定することとされているが、この訪問介護員等ごとの計画については、職責、経験年数、勤続年数、所有資格及び本人の意向等に応じ、職員をグループ分けして作成することも差し支えない。

なお、計画については、すべての訪問介護員等が概ね1年の間に1回以上、なんらかの研修を実施できるよう策定すること。

21.3.23 介護保険最新情報vol.69平成21年4月改定関係Q&A(vol.1)

問4.特定事業所加算及びサービス提供体制強化加算の要件のうち、定期的な健康診断の実施に係る要件の留意事項を示されたい。

(答)本要件においては、労働安全衛生法により定期的に健康診断を実施することが義務づけられた「常時使用する労働者」に該当しない訪問介護員等を含めた、すべての訪問介護員等に対して、1年以内ごとに1回、定期的に医師による健康診断(常時使用する者に労働者に該当しない者に対する健康診断の項目についても労働安全衛生法と同様とする)を、事業所の負担により実施することとしている。

また、「常時使用する労働者」に該当しない訪問介護員等に対する健康診断については、労働安全衛生法における取扱いと同様、訪問介護員等が事業者の実施する健康診断を本人の都合で受診しない場合については、他の医師による健康診断(他の事業所が実施した健康診断を含む。)を受診し、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、健康診断の項目を省略できるほか、費用については本人負担としても差し支えない(この取扱いについては、高齢者の医療の確保に関する法律により保険者が行う特定健康診査については、同法第21条により労働安全衛生法における健康診断が優先されることが定められているが、「常時使用する労働者」に該当しない訪問介護員等については、同条の適用はないことから、同様の取扱いとして差し支えない。)。

21.3.23介護保険最新情報vol.69 平成21年4月改定関係Q&A(vol.1)

問6.産休や病欠している期間は含めないと考えるのか。

答)産休や介護休業、育児休業期間中は雇用関係が継続していることから、勤続年数に含めることができる。

21.3.23介護保険最新情報vol.69 平成21年4月改定関係Q&A(vol.1)

問10.「届出日の属する月の前三月について、常勤換算方法により算出した平均を用いる」こととされている平成21年度の1年間及び平成22年度以降の前年度の実績が6月に満たない事業所について、体制届出後に、算定要件を下回った場合はどう取扱うか。

(答)サービス提供体制強化加算に係る体制の届出に当たっては、老企第36号等において以下のように規定されているところであり、これに従った取扱いとされたい。

「事業所の体制について加算等が算定されなくなる状況が生じた場合又は加算等が算定されなくなることが明らかな場合は、速やかにその旨を届出させることとする。なお、この場合は、加算等が算定されなくなった事実が発生した日から加算等の算定を行わないものとする。」

具体的には、平成21年4月に算定するためには、平成20年12月から平成21年2月までの実績に基づいて3月に届出を行うが、その後平成21年1月から3月までの実績が基準を下回っていた場合は、その事実が発生した日から加算の算定は行わないこととなるため、平成21年4月分の算定はできない取扱いとなる。

21.3.23介護保険最新情報vol.69 平成21年4月改定関係Q&A(vol.1)

問8.一部ユニット型施設・事業所について、当該施設・事業所のユニット型部分とユニット型以外の部分をそれぞれ別施設・事業所として指定した場合、サービス提供体制強化加算を算定する上で、前年度の職員の割合はどのように算出すればよいか。

(答)別施設・事業所として指定等した当該年度については、双方の施設・事業所を一体として前年度の実績に基づき職員の割合を算出する。

この場合、双方の施設・事業所においてサービス提供体制強化加算を算定可能である。

翌年度については、別施設・事業所として指定等した以後の実績に基づいて、それぞれの施設・事業所について職員の割合を算出する。

23.9.30事務連絡 介護保険最新情報vol.238指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令の施行に伴う指定、介護報酬等の取扱いについて

問63.サービス提供体制強化加算の新区分の取得に当たって、職員の割合については、これまでと同様に、1年以上の運営実績がある場合、常勤換算方法により算出した前年度の平均(3月分を除く。)をもって、運営実績が6月に満たない事業所(新たに事業を開始した事業所又は事業を再開した事業所)の場合は、4月目以降に、前3月分の実績をもって取得可能となるということでいいのか。

(答)貴見のとおり。

なお、これまでと同様に、運営実績が6月に満たない場合の届出にあっては、届出を行った月以降においても、毎月所定の割合を維持しなければならず、その割合については毎月記録する必要がある。

27.4.30事務連絡 「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(vol.2)(平成27年4月30日)」の送付について

問126.サービス提供体制強化加算 「10年以上介護福祉士が30%」という最上位区分の要件について、勤続年数はどのように計算するのか。

(答)・サービス提供体制強化加算における、勤続10年以上の介護福祉士の割合に係る要件については、
- 介護福祉士の資格を有する者であって、同一法人等での勤続年数が10年以上の者の割合を要件としたものであり、
- 介護福祉士の資格を取得してから10年以上経過していることを求めるものではないこと。
・「同一法人等での勤続年数」の考え方について、
- 同一法人等(※)における異なるサービスの事業所での勤続年数や異なる雇用形態、職種(直接処遇を行う職種に限る。)における勤続年数
- 事業所の合併又は別法人による事業の承継の場合であって、当該施設・事業所の職員に変更がないなど、事業所が実質的に継続して運営していると認められる場合の勤続年数は通算することができる。

(※)同一法人のほか、法人の代表者等が同一で、採用や人事異動、研修が一体として行われる等、職員の労務管理を複数法人で一体的に行っている場合も含まれる。
・なお、介護職員等特定処遇改善加算において、当該事業所における経験・技能のある介護職員の「勤続年数10年の考え方」とは異なることに留意すること。
※ 平成21年4月改定関係Q&A(Voi.1)(平成21年3月23日)問5は削除する。

3.3.26事務連絡 介護保険最新情報vol.952「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(vol.3)(令和3年3月26日)」の送付について

【定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護】

問13.定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と夜間対応型訪問介護事業所を一体的に運営している場合、加算の算定基準となる職員の割合は一体的に算出すべきか、別個に算出すべきか。両方を兼務している職員をどちらか一方に寄せてカウントすることは可能か。

(答)・定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と夜間対応型訪問介護事業所を兼務している職員については、勤務実態、利用者数等に基づき按分するなどの方法により当該職員の常勤換算数を定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と夜間対応型訪問介護事業所に割り振った上で、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と夜間対応型訪問介護事業所それぞれについて割合を算出し、加算の算定の可否を判断することが望ましい。

ただし、大多数の職員が定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と夜間対応型訪問介護事業所を均等に兼務しているような場合は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と夜間対応型訪問介護事業所で一体的に算出した職員の割合を、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と夜間対応型訪問介護事業所の両方について用いても差し支えない。

・また、実態として定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所のみに勤務している職員を定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所のみでカウントすることは差し支えないが、実態として定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と夜間対応型訪問介護事業所を兼務している職員を定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と夜間対応型訪問介護事業所いずれか一方のみにおいてカウントするなど、勤務実態と乖離した処理を行うことは認められない。

3.3.29事務連絡 介護保険最新情報vol.953「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(vol.4)(令和3年3月29日)」の送付について

6.参考

7.最後に

加算には様々な要件が存在しますが、それぞれが今後のケアに重要なものであったり、質を向上させるために必要なものばかりです。

着実に加算を取得できるような体制を整えていきましょう。

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