いつもお世話になってます!Pスケ(@kaigonarehabilid)です。
平成30年度の介護報酬改定では、さまざまな算定要件の変更と新しく創設された加算があります。
今回はその中の1つ『看取り介護加算(Ⅱ)』と『看取り介護加算(Ⅰ)』について話したいと思います。
また令和3年度の介護報酬改定により30日以前の対応に対しても算定可能となりました。
また、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援も大切になってきています。
って、ことで今回は 『【令和3年度】30日以前の対応や本人の意思の尊重を重要視!看取り介護加算(Ⅱ)(Ⅰ)の算定要件』について話したいと思います。
▼目次▼
目次
1.背景
『看取り介護加算』は平成18年4月の介護報酬改定より制定されました。
年々、施設での看取り介護の認知や理解度が増え、調査結果によると施設の方針は『希望があれば、施設内で看取る』の割合が78%と高い水準となっています。
看取りの受け入れ体制は構築されているようですが、依然施設外で亡くなる方も存在してます。
1.1医療ニーズの受け入れ体制
施設外で亡くなる理由の1つに、施設が医療ニーズがある利用者の看取り介護が難しい現状があります。
平成28年の調査では施設退所した利用者の内、死亡退所者は70.4%。
その内、入院後の死亡退所は29.0%、その他の病院診療所へ24.9%であり、この二つの合計が約54%と多い状況になってます。
このように病院に搬送する事が多いことから、特養の医療体制を手厚くし看取り介護をしやすい体制を作る為に今回の改定となりました。
1.2.令和3年度の介護報酬改定
令和3年度の介護報酬改定では特別養護老人ホームの中重度者や看取りへの対応の充実を図る為、看取り介護加算の算定要件の見直しが行われました。
内容として
- 現行の死亡日以前45日前からも新たに評価
- 本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努める
という要素が加わることになりました。
2.点数
今回の看取り介護加算は既存の要件を満たしたのが看取り介護加算(Ⅰ)。
医療体制が整備されたのを看取り介護加算(Ⅱ)となってます。
看取り介護加算(Ⅰ) | 看取り介護加算(Ⅱ) | |
死亡日45日前~31日前 | 72単位/日 | 72単位/日 |
死亡日30日前~4日前 | 144単位/日 | 144単位/日 |
死亡日の前日及び前々日 | 680単位/日 | 780単位/日 |
死亡日 | 1,280単位/日 | 1,580単位/日 |
3.看取り介護加算(Ⅱ)の算定要件と留意事項
看取り介護加算(Ⅱ)の算定要件は看取り介護(Ⅰ)の要件に加え、以下の要件を満たさなければいけません。
5(29)⑭ 看取り介護加算Ⅱについては、入所者の死亡場所が当該施設内であった場合に限り算定できる。
⑮ 看取り介護加算Ⅱの算定に当たっては、(配置医師緊急時対応加算の⑤)を準用する。
引用: 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について
配置医師緊急時対応加算の⑤とは『配置医師と施設の緊急時における体制の整備』のことです。
その他にも以下の配置医師緊急時対応加算の要件を満たす必要があります。
配置医師緊急時対応加算の要件1~4
1 入所者に対する緊急時の注意事項や病状等についての情報共有の方法及び曜日や時間帯ごとの医師との連絡方法や診察を依頼するタイミングなどについて、配置医師と施設の間で、具体的な取り決めがなされていること。
2 複数名の配置医師を置いていること、若しくは配置医師と協力医療機関の医師が連携し、施設の求めに応じて24時間対応できる体制を確保していること。
3 上記の内容につき、届出を行っていること。
4 看護体制加算(Ⅱ)を算定していること。
また看取り介護加算(Ⅰ)を算定している場合は、看取り介護加算(Ⅱ)は算定できません。
3.1配置医師緊急時対応加算の要件1~4
配置医師緊急時対応加算の要件1~4は配置医師が早朝や夜間帯に訪問して記録をする以外の要件のことを指します。
また看取り介護加算(Ⅱ)を取得するにあたり、『配置医師緊急時対応加算に係る届出書』を提出してないと算定できません。
なので、『配置医師緊急時対応加算』が取得出来る体制でないと『看取り介護加算(Ⅱ)』は取得できません。
配置医師緊急時対応加算の詳しい説明は以下に書いてあります。
3.2死亡場所が施設内であった場合に算定可能
看取り介護加算(Ⅰ)では何かの理由で退所してしまった場合、退所日までは算定可能です。
しかし看取り介護加算(Ⅱ)では死亡場所が看取り介護加算を取得した施設内でなければ算定出来ないことになっています。
4.看取り介護加算(Ⅰ)の算定要件等
そもそも看取り介護加算(Ⅰ)の算定要件を満たさなければ、看取り介護加算(Ⅱ)は算定できません。
看取り介護加算(Ⅰ)の算定要件は以下のようになっています。
(18)ア 指定介護福祉施設サービスにおける看取り介護加算に係る施設基準
- 常勤の看護師を1名以上配置し、当該指定介護老人福祉施設の看護職員により、又は病院若しくは診療所若しくは指定訪問看護ステーションの看護職員との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること。
- 看取りに関する指針を定め、入所の際に、入所者又はその家族等に当該指針の内容を説明し、同意を得ていること。
- 医師、看護職員、介護職員、介護支援専門員、生活相談員、管理栄養士その他の職種の者による協議の上、当該指定介護老人福祉施設における看取りの実績等を踏まえ、適宜、看取りに関する指針の見直しを行うこと。
- 看取りに関する職員研修を行っていること。
- 看取りを行う際に個室または静養室の利用が可能となるよう配慮すること。
イ 指定施設サービス等介護給付費単位数表の介護福祉施設サービスの厚生労働大臣が定める基準に適合する入所者
- 医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者であること
- 医師、看護職員、介護支援専門員その他の職種の者(以下において「医師等」という。)が共同で作成した入所者の介護に係る計画について、医師等のうちその内容に応じた適当な者から説明を受け、当該計画について同意している者(その家族等が説明を受けた上で、同意している者を含む。)であること。
- 看取りに関する指針に基づき、入所者の状態又は家族の求めに等に応じ随時、医師等の相互の連携の下、介護記録等入所者に関する記録を活用し行われる介護についての説明を受け、同意した上で介護を受けている者(その家族等が説明を受け、同意した上で介護を受けている者を含む。)であること。
- 入所者に提供する看取り介護の質を常に向上させていくため、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のサイクル(PDCAサイクル)により、看取り介護」を実施する体制を構築すること。
- 看取り介護を実施するに当たり、終末期にたどる経過、施設等において看取りに際して行いうる医療行為の選択肢、医師や医療機関との連携体制などについて、入所者等の理解が得られるよう継続的な説明に努めること。また、説明の際には、入所者の理解を助けるため、入所者に関する記録を活用した説明資料を作成し、その写しを提供すること。
- 入所者又はその家族等の同意を得て、当該入所者の介護に係る計画が作成されていること。
5.人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン
看取り介護加算(Ⅰ)(Ⅱ)は令和3年度の介護報酬改定により看取り介護に係る計画の作成及び看取り介護の実施にあたっては、
厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等
を参考にするようになりました。
本人の意思を尊重した医療・ケアの方針が実施できるように、多職種が連携して本人とその家族が必要な情報の共有等に努めていかなければなりません。
6.届出
看取り介護加算(Ⅰ)(Ⅱ)を取得するには届出が必要です。
届出に必要な書類は以下の通りです。
また『配置医師緊急時対応加算に係る届出書(別紙21)(令和3年度)』の届出がある場合は『看取り介護加算(Ⅱ)』を届出無しなら、『看取り介護加算(Ⅰ)』の算定となります。
6.Q&A
介護老人福祉施設
Q4.(介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護)看取り介
護加算について、家族が看取りのための個室ではなく、二人部屋でよいと同意
している場合、二人部屋であっても加算が算定できるのか。(答)本人や家族の希望により多床室での看取り介護を行った場合には、看取り介護加算の算定は可能であるが、多床室を望むのか、個室を望むのかは時期によって変わってくることもあるので、適宜本人や家族の意思を確認する必要がある。
18.9.4介護制度改革information vol.127 事務連絡 介護老人福祉施設及び地域密着型サービスに関するQ&A
Q5.(介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護)看取り介
護で入所者が多床室から看取りのための個室(静養室)に入った場合、個室の
居住費の取扱いはどうなるのか。また、看取りのための個室が従来型個室で
あった場合はどうか。(答)看取りのための個室が静養室の場合は、看取りのための個室に入る前の多床室に係る報酬を算定することとなる。また、看取りのための個室が従来型個室である場合は、「感染症等により従来型個室への入所の必要があると医師が判断した者であって、当該居室への入所期間が30日以内であるもの」に該当する場合には、多床室に係る介護報酬を適用する。この場合、居住費については、多床室扱いとなり、光熱水費のみが自己負担となる。
18.9.4 介護制度改革information vol.127 事務連絡 介護老人福祉施設及び地域密着型サービスに関するQ&A
Q34.平成21 年3月中に入所者から同意を取り、看取り介護を実施していたが、4月に入ってから入所者が亡くなった場合の加算の算定方法はどのようにするの
か。(答)当該加算は死亡月にまとめて算定するものであるところ、4月以降に死亡した入所者については、3月中の入所期間を含め、死亡日から遡って30 日間について、報酬改定後の単位数に基づき計算することとする。このため、4月半ばに施設内又は居宅において死亡した場合、3月中の入所期間について160 単位の算定はできず、死亡日につき1280単位、死亡日前日及び前々日につき680 単位、残る27 日分については3 月中の入所期間も含め80 単位を算定することとなる。
また、例えば4月1日に施設内において死亡した場合は、死亡日の前日及び前々日は3月中(3月31 日及び30 日)になるものの、この場合も両日について680 単位を算定することは可能であるものとする。すなわち、4月1日について1280 単位、3月31 日及び3月30 日について680 単位を算定し、 残る27 日分につき80 単位を算定することとなる。21.4.17 介護保険最新情報vol.79 平成21年4月改定関係Q&A(vol.2)
Q3.在宅・入所相互利用加算を算定している入所者が、特別養護老人ホームに入
所している間に、看取り介護加算の基準に該当することとなった場合、看取り介
護加算も算定することは可能か。(答)在宅・入所相互利用加算の対象者が、看取り介護加算の対象となるような状態になったときには、看取り介護加算も算定して差し支えない。
19.2.19全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料介護老人福祉施設及び地域密着型サービスに関するQ&A
Q142.看取りに関する指針の内容について見直しを行って変更した場合には、既存の入所者等に対して、改めて説明を行い、同意を得る必要があるか。(答)「看取りに関する指針」の見直しにより、「当該施設の看取りに関する考え方」等の重要な変更があった場合には、改めて入所者及びその家族等に説明を行い、同意を得る必要がある。なお、それ以外の場合についても、入所者等への周知を行うことが適切である。
27.4.1事務連絡 介護保険最新情報vol.454「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(平成27年4月1日)」の送付について
Q143.看取りに関する指針は、入所の際に入所者又は家族に説明し、同意を得ることとされているが、入所後に入所者の心身の状況が変化し看取り介護の必要性
が認められる場合に、その時に説明し、同意を得たとして算定はできないのか。(答)少なくとも説明及び同意の有無を確認することは、原則入所時に行う必要がある。ただし、同意の有無を確認することについては、入所者の意思に関わるものであることから、遅くとも看取り介護の開始前に行う必要がある。
27.4.1 事務連絡 介護保険最新情報vol.454「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(平成27年4月1日)」の送付について
Q144.算定要件に「多職種の相互の連携の下、介護記録等入所者に関する記録を活用し行われる介護についての説明を受け、同意した上で介護を受けている者」とあるが、具体的にどのような記録を活用して、何を説明するのか。また、何
について同意を得るのか。(答)詳細については、以下の通知を参照されたい。
※ 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月8日付老企発第40号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)第2の5(24)
※ 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成18年3月31日付老計発第0331005号・老振発第0331005号・老老発第0331018号厚生労働省老健局計画・振興・老人保健課長連名通知)第2の8(24)27.4.1事務連絡 介護保険最新情報vol.454「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(平成27年4月1日)」の送付について
7.詳細
以下のサイトで詳細は確認できます。
- 令和3年度介護報酬改定における改定事項について
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(令和3年度)
- 平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成30年度)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成27年度改定)
8.最後に
今後の看取り介護は病院ではなく、在宅や施設で行うことが重要になってきます。
令和3年度の介護報酬改定で中重度者の看取り、本人の意思を尊重した対応が重要視されるようになりました。
介護報酬改定が行われるにつれ、在宅・施設での看取り介護を推進しているので、柔軟に対応していきましょう。