特養ショート(短期入所生活介護)の個別機能訓練加算 算定要件とQ&Aを細かく解説

特養 個別機能訓練加算

いつもお世話になってます!Pスケ(@kaigonarehabilid)です。

今回は『特養ショートステイの個別機能訓練加算 算定用件とQ&A』をまとめてみたいと思います。

▼目次▼

1.特養ショートステイの機能訓練関係で取れる加算

2.個別機能訓練加算

2.1目的

2.2個別機能訓練の算定用件

2.2.①専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置

2.2.②機能訓練指導員等が共同して、利用者の生活機能向上に資するよう利用者ごとの心身状況を重視した個別機能訓練計画の作成

2.2.③計画に基づき、生活機能向上を目的とする機能訓練の項目を準備し、機能訓練指導員が、心身の状況に応じた機能訓練を適切に提供

2.2.④機能訓練指導員等が利用者の居宅を訪問し個別機能訓練計画書を作成。その後、3か月ごとに1回以上利用者の居宅を訪問し、利用者又は家族に機能訓練の内容と計画の進捗状況等を説明し、訓練内容の見直し等を行っている。

2.3機能訓練の具体的定め

2.4記録について

3.まとめ

1.特養ショートステイの機能訓練関係で取れる加算

特養ショートステイの個別機能訓練関係で取得できる加算は以下の2つあります。

・機能訓練指導員加算

・個別機能訓練加算

単位数は以下のようになります。

単位数
機能訓練指導員加算12単位/日
個別機能訓練加算56単位/日

これは同1日に両方算定可能です。

2.個別機能訓練加算

2.1目的

個別機能訓練加算 園芸
ショートステイの個別機能訓練加算の目的は次のようになってます。

『残存機能を活用し、生活機能を維持・向上』

『利用者が居宅において可能な限り自立して暮らし続けること』

上記二つの目的に基づいて行った機能訓練に算定されます。

2.2個別機能訓練の算定用件

算定要件

① 専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置

②機能訓練指導員等が共同して、利用者の生活機能向上に資するよう利用者ごとの心身状況を重視した個別機能訓練計画の作成

③計画に基づき、生活機能向上を目的とする機能訓練の項目を準備し、機能訓練指導員が、心身の状況に応じた機能訓練を適切に提供

④機能訓練指導員等が利用者の居宅を訪問し個別機能訓練計画書を作成し、その後も、3か月ごとに1回以上利用者の居宅を訪問し、利用者又は家族に機能訓練の内容と計画の進捗状況等を説明し、訓練内容の見直し等を行っている。

引用: 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について (令和3年度改定分)

④に記載されている内容が特養の個別機能訓練加算と違うので注意しましょう。

2.2.①専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置

個別機能訓練加算を取得するには、機能訓練指導員加算の人員とは別に、専従の機能訓練指導員を配置する必要があります。

この機能訓練指導員に従事できるのは

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 看護職員
  • 柔道整復師
  • あん摩マッサージ指圧師
  • はり師又はきゅう師

となっています。

はり師及びきゅう師は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者しかできません。

この6月以上の証明はその従事した事業所から何かしらの証明を出してもらうことで成立します。

この個別機能訓練加算。

文言としては専従です。

専従なので、ショートステイの個別機能訓練を行う時間にデイサービス兼務者や看護師などを配置出来れば、算定可能になります。

常勤ではなく、専従のみですので、間違わないようにしましょう。

以下のQ&Aにも記載されているので、参考にしてください。

○ADL・IADL の維持・向上を目的とした機能訓練を実施している事業所の評価

問75 短期入所生活介護事業所を併設している特別養護老人ホームにおいて、個別機能訓練加算を特別養護老人ホームで算定し、併設の短期入所生活介護事業所では機能訓練指導員の加算を算定し、新設の個別機能訓練加算を短期入所生活介護事業所で算定しようとする場合、特別養護老人ホームと短期入所生活介護事業所を兼務する常勤専従の機能訓練指導員を1名配置し、それとは別に専従の機能訓練指導員を短期入所生活介護事業所に1名配置すれば、短期入所生活介護においては、機能訓練指導員の加算と新設の個別機能訓練加算の両方が算定できるということでよいか。

(答)短期入所生活介護の「機能訓練指導員の加算」は、常勤・専従の機能訓練指導員を配置した場合に評価されるものであるが、「個別機能訓練加算」は利用者の生活機能の維持・向上を目的として、専従の機能訓練指導員が利用者に対して直接訓練を実施するものである。

このため、常勤・専従の機能訓練指導員とは別に専従の機能訓練指導員を短期入所生活介護事業所に1名配置すれば、いずれの加算も算定することができる。

引用:介護保険最新情報vol.454平成27 年度介護報酬改定に関するQ&A(平成27 年4月1日)

問32.はり師・きゅう師を機能訓練指導員とする際に求められる要件となる、「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上機能訓練指導に従事した経験」について、その実務時間・日数や実務内容に規定はあるのか。

(答)要件にある以上の内容については細かく規定しないが、当然ながら、当該はり師・きゅう師が機能訓練指導員として実際に行う業務の頻度・内容を鑑みて、十分な経験を得たと当該施設の管理者が判断できることは必要となる。

引用:30.3.23事務連絡「平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(vol.1)(平成30年3月23日)」の送付について

問33.はり師・きゅう師を機能訓練指導員として雇う際に、実際に、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上機能訓練指導に従事した経験を有することをどのように確認するのか。

(答)例えば、当該はり師・きゅう師が機能訓練指導に従事した事業所の管理者が書面でそれを証していることを確認すれば、確認として十分である。

引用:30.3.23事務連絡「平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(vol.1)(平成30年3月23日)」の送付について

問12.一部ユニット型施設・事業所が、ユニット型部分とユニット型以外の部分それぞれ別施設・事業所として指定されることとなった場合について、
➀常勤職員による専従が要件となっている加算
の算定について、それぞれどのように考えればよいか。

(答)(➀について)従来、「一部ユニット型」として指定を受けていた施設が、指定更新により、ユニット型施設とユニット型以外の施設とで別の指定を受けている場合を含め、同一建物内にユニット型及びユニット型以外の介護老人福祉施設(又は地域密着型介護老人福祉施設)が併設されている場合については、「個別機能訓練加算」や「常勤医師配置加算」など常勤職員の専従が要件となっている加算について、双方の施設を兼務する常勤職員の配置をもって双方の施設で当該加算を算定することは認められないものとしてきたところである。
しかしながら、個別機能訓練加算については、「専ら機能訓練指導員の職務に従事する」ことが理学療法士等に求められているものであり、一体的な運営が行われていると認められる当該併設施設において、双方の入所者に対する機能訓練が適切に実施されている場合で、常勤の理学療法士等が、双方の施設において、専ら機能訓練指導員としての職務に従事しているのであれば、今後、当該加算の算定要件を双方の施設で満たすものとして取り
扱うこととする。

引用:30.5.29事務連絡 介護保険最新情報vol.657「平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)(平成30 年5月29 日)」の送付について

2.2.②機能訓練指導員等が共同して、利用者の生活機能向上に資するよう利用者ごとの心身状況を重視した個別機能訓練計画の作成

個別機能訓練計画書を作成するには、

Pスケ
機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種が共同して作ってます!

ということをはっきり分かるように書類作成や記録に残さなければなりません。

個別機能訓練計画書に

・目標

・実施時間

・実施方法等の内容

を記載する必要があります。

また個別機能訓練の効果、実施時間、実施方法等についての評価が必要です。

目標は具体的に挙げる必要があり、利用者の日常生活における生活機能の維持・向上に関する目標を設定します。

例えば

利用者
1人で入浴が出来るようになりたい

など具体的な目標を設定し、目標を達成するための訓練をすることが重要です。

また個別機能訓練計画書はデイサービス(通所介護)の個別機能訓練(Ⅱ)と同等の評価、計画書を作成しなければなりません。

引用: 通所介護及び短期入所生活介護における個別機能訓練加算に関する事務処理手順例及び様式例の提示について

ただし特養の個別機能訓練とは違って、ありがたいことがあります。

それは短期入所生活介護計画の中に個別機能訓練計画を記載すれば、個別機能訓練計画書は要らないということです!

これは覚えておいて損は無いと思います。

2.2.③計画に基づき、生活機能向上を目的とする機能訓練の項目を準備し、機能訓練指導員が、心身の状況に応じた機能訓練を適切に提供

ショート 個別機能訓練加算 機能訓練

これは利用者が、専従の機能訓練指導員から直接訓練を受けたときに適用されます。

なので例えば勤務上、火曜と木曜しか専従で配置出来なかった場合は、その日の個別に訓練を行った利用者のみ加算対象となります。

また特定の曜日しか出来ない旨を、利用者家族と居宅ケアマネにも伝えておく必要があるので、そのことを記録や書類で残しておきましょう。

あと看護師が加算取得のために勤務する場合は、その時間帯だけ看護職員として換算してはいけません。

2.2.④機能訓練指導員等が利用者の居宅を訪問し個別機能訓練計画書を作成。その後、3か月ごとに1回以上利用者の居宅を訪問し、利用者又は家族に機能訓練の内容と計画の進捗状況等を説明し、訓練内容の見直し等を行っている

ショート 個別機能訓練加算 訪問
④に記されている『機能訓練指導員等』は『機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者』とされてます。

捉え方によっては必ず機能訓練指導員が行くとは書いてありませんので、注意して下さい。

また特養の個別機能訓練加算と違う一番の特徴『3か月ごとに1回以上の利用者居宅の訪問』。

訪問で利用者又は家族の説明、訓練内容の見直しを行うことを忘れないでください。

また令和3年度の介護報酬改定で、利用者等に対する説明は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるようになりました。

ただし、テレビ電話等の活用は利用者等の同意を得なければなりません。

なお、テレビ電話装置等の活用には、

個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス

厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守しなければなりません。

2.3機能訓練の具体的定め

ショート 個別機能訓練加算 機能訓練
ショートステイの機能訓練に関して、以下のような文言が記されています。

・機能訓練指導員が直接実施

・類似の目標で同様の訓練内容なら、5人程度以下の小集団でも機能訓練可能(個別対応含む)

・事業所内外の設備等を用い、実践的かつ反復的な訓練

以上のことを踏まえて機能訓練を実施していきましょう。

2.4記録について

ショート 個別機能訓練加算 記録

記録についても以下のように書かれています。

・実施時間、訓練内容、担当者等を個別に記録として残す

・居宅訪問内容と利用者又は家族の説明

利用者の担当介護支援専門員等に適宜報告・相談の内容を記載又は報告書などを作成し、原本を残しておく事が大事です。

3.まとめ

特養の基本方針は『居宅における生活の復帰』を念頭に置かなければなりません。

ショートステイの個別機能訓練加算は在宅支援にとって大事な加算で点数も高いので、どんどん取得していきましょう。

さらに詳しい内容は以下のサイトにて閲覧可能なので、内容等を確認することをお勧めします。

引用: 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について (平成27年度改定分)

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